’02 対馬遠征釣行記

'02 対馬遠征釣行記                     
   
前回釣行から早3年が経過、10/19〜24までの6日間、待ちに待った3度目の対馬遠征で
ある。今回も前回と同様、木戸氏・向氏の3名での釣行。前回の釣行では「対馬サイズ」こそ出
なかったものの、2回目ということで対馬というステージでの投げ釣りを十二分に満喫。対馬の
大ギス・マダイに一歩づつながら近づきつつある、という確固たる手ごたえを掴んだ。今回こそ
は念願の「対馬サイズ」をGETしたいところである。
10/19(第1日目)
6:15起床、早速、TVをNHKのニュースに合わせる。実は昨日から天気予報が気になって仕
方が無い。それもそのはず、金曜日まで九州北部は好天であったが、金曜後半から気圧の谷
に入り、対馬の西で低気圧が発達。加えて北からの高気圧の張出しが強く、発達した低気圧
の行く手を阻み、等圧線が込み合った状態が週末から週明けにかけて続くという情報であった
からである。6:30前、注目の気象情報が流れる。福岡方面は雨、壱岐対馬や五島列島方面
は局地的に風雨共に強い状態とのこと。予報が外れることを念じていたが恨めしくもこんなとき
だけ的中。高まってきた期待を少しスポイルされた気分になる。しかしながら気を取り直して自
宅を出発、木戸氏を家まで迎えに行き、7:30予定通り会社の駐車場でエサの調達を済ませ
て来てくれた向氏と合流。今回は、前回のような持ち込みエサの鮮度維持・遠征先でのタマ切
れなどの問題を回避すべく、木戸氏が事前に現地の釣具店にエサの確認・確保の対応を取っ
てくれており、準備は万全。三水釣具店にて一人当たりアオムシ¥7,500の購入(約3日)・持
参である。合流後、早速高速に乗り約1時間、8:45には小松空港に到着。曇り空であるが風
も無く、出先の荒天が信じられない程の穏やかな日和である。搭乗手続きを終え、待合室のT
Vを眺めていると目に飛び込んできたのは気象情報。長崎の北部・西部には発達した積乱雲
があり、五島列島の福江では一時間に50ミリの豪雨というアナウンス。アメダスの降水雨量で
は対馬方面も一時間に10ミリ前後の強い雨。やはり不安を憶えずにはいられなかった。そうこう
しているうちに定刻の9:45となり、飛行機は福岡に向けて飛び立った。機内ではやはり到着
地の悪天候をアナウンスしており、福岡着陸の為、機体の高度を下げ始めてからはガタガタと
小刻みな揺れが続く。大きな揺れこそないが揺れが継続した時間は過去最長であっただろう。
珍しく「気分の悪くなられた方は早めのゲロ袋?(失礼!)使用をお願いします」との機内放送
まであり、何度飛行機に乗っても不安の消えない私(今回の釣行分をカウントすると延べ12回
も飛行機に搭乗。普通の人よりは経験があると思うのであるが、未だに鉄の塊が、レールも無
く、ピアノ線!?で吊られている訳でもなく空中に浮かんでいると思うと、どうもオシリのアタリが
落ち着かない)にとっては念仏を唱える時間が続く。念仏のおかげもあって?定刻通りの11:
05、無事福岡空港に着陸した。福岡空港で2時間弱の待ち時間を経て12:50、予定通り、と
行きたいところであったが荒天のせいであろうか、「使用便の準備が遅れておりますので」との
アナウンス。定刻より10分遅れの13:00、ようやく対馬に向かうことが出来た。対馬へ向かう
空路での強風はこれまでからも経験済み。着陸時の旋回時に一度大きな揺れこそあったが1
3:35、無事対馬の地に到着することが出来た。現地の天候は、雨は降っているものの思った
ほどではないようだ(ただ、強風はいかんともしがたい)。
空港で手荷物を受け取り、出口へ向かうといつものようにホテルの送迎車が迎えにきてくれて
おり、早速乗車してホテルにチェックイン。レンタカー手続きを行う。毎回の事であるが部屋へ
の荷物搬入・仕分けに一汗かいて雨風の中、3年前と同じ日産キューブ(この前来たときはトリッ
プメータで1600Kmとまだ新車だったが今回はもう60000Kmに届こうとしている。時間の経過を感
じずにはいられなかった)に目一杯の道具・荷物を積み込み14:50、ホテルを出発した。まず
は恒例の食料品買出し、いつものスーパーで用を済ませ、早速、風裏のポイントへと考えてい
たがスーパーから一歩外へ出てみると、まるでバケツをひっくり返したような豪雨。屋根の下に
いても水しぶきが風に舞って、ミストシャワーが全身に降りかかる。いくらカッパを着込んだとし
てもこの中で釣りは…。呆然と立ち尽くしていてもこの雨の勢いは弱まりそうにもない。しかし、
車への僅か10m程度の距離でもためらうほどの雨量である。ふと横を見ると、「置き傘:次回
来店のときにお返しいただければ結構です」との張り紙。とりあえずは数日、この傘にお世話
になることにしよう。
 15:40 大船越水道
この豪雨により、本日腰を落ち着けての釣りはムリと判断。いつでもホテルに戻れるよう、近場
のポイントを見てまわることに…。当然、晩御飯も外で火を使ってという当初からの計画は不
可能ということで、移動の最中に発見した弁当屋さんで各自弁当を買い込む。その後、大船越
漁港に到着。夜釣りでマダイ・キスが有望のポイントだが風雨ともに強く、釣り場を見ることだ
けで竿出しは断念。大船越の水道側に移動する。大船越水道はキューセンのランクを狙うべ
く、もともと初日の計画に組んでいたところである。予想以上に護岸整備が進んでいたが、以
前、大物を釣ったポイントはそのままで健在。向氏と私は意を決してカッパを着込み、サオ1本
だけで釣りを敢行することに。しかし、強風と波気でとてもポイントまで歩くことは出来そうもな
い。ここからでしゃーないかっ、と、護岸上からサオを出す。「記念すべき対馬での第一投!」
などと感慨にふけることの出来ない厳しい状況下で第一投。強風で思ったように距離も出ず、
サオさばきもままならない中で、いきなりゴツゴツとアタリがくる。さすが対馬だ!、これこ
れ!!って感じなんだが小物の感触。狙い通りのキューセンが釣れて来たがまだ白ベラ。早
速海にお帰り願う。強風の中、第二投。着底と同時にサビき始めると、これにもすぐさまアタ
リ。しかしまたまた小物。フエフキの幼魚である。向氏もフエフキやイソベラなど、魚は釣ってい
るが小物ばかり。ここ護岸からでは型物は期待薄の様である。風に増して雨も強くなって来た
ので次のポイントを見てまわることにした。
 15:55 太田浦
 天候の悪化に伴い、ホテル方面に戻り始めると太田浦海水浴場との看板。それに従いわき
道に侵入。うねうねと峠を一つ越えたところで山肌に駐車場を発見。みちづてに500m程走っ
ていくと目の前には白砂の海水浴場が開けてきた。対馬で見る初めての白い砂浜である。もと
もと対馬は砂浜が少ないところであるが、過去にサオ出ししたポイントの中には部分的に砂浜
のところもあった(越高の浜側など)。しかし殆どが黒い砂粒の浜であり、白砂はなにか異様な
感じを受ける。
 向氏は先ほどの大船越で衣類が濡れた事もあって、見ているだけにするという。木戸氏も相
変わらず見ているだけ、との事。取りあえず私だけが再びカッパを着込み、特攻隊長としてサ
オ1本だけ持って浜へ降り立った。幸いこのポイントは全くの風裏となるようで風の影響もさほ
どではない。しかしながら水深もなく2.5〜3色あたりにはシモリがビッシリ。やりにくい場所だ
なーと思いながら第一投。おや?、生物反応がない。2投目、方向を変えてみるが同じ。3投目
でようやくアタリがあり、22〜23cmの良型キューセンが釣れて来た。4投目、またアタリなく波
打ち際でフエフキの子。この場所はエサがついて戻ってくること(2匹の魚が釣れた以外はエサ
はそのまんま)で魚影が薄いと判断。ふと見ると、車では木戸氏が地元警察に尋問を受けてい
る(密漁・北朝鮮警戒?)。不穏な空気を察し?僅か4投であるが場所を移動することにした。
 16:35 け知漁港(「け」は漢字であるが当用漢字にない) 
 天候の悪さに今度はどこへ行こうか思案に暮れる。そうだ、久しぶりにけ知漁港へ行ってみ
ることにしよう。こんな大荒れの日には風裏の内湾に魚がいるかも知れない、ということで7年
ぶりに漁港へ到着。この時点では雨も弱くなっていたのでまずは向氏にサオ出しを勧める。彼
にとっては始めての釣り場となるからだ。ここけ知漁港は魚もそこそこ釣れ、波も穏やかである
し、底の状態も決して悪くないことは私と木戸氏は体験済みである。ただオカズ釣り場だってイ
メージがあるので前回の遠征では外した釣り場だが、足場の良い防波堤からの釣りで、少し車
からは離れることになるものの負担も少ない釣り場である。早速、向氏はサオ1本持って突堤
中間部からサオ出し。私と木戸氏は天候の急変に備え、見るだけということで向氏に狙いの方
向等を軽くアドバイスする。その一投目で向氏がアタリをとらえた。上がってきたのは24cm、
今回対馬初キスであった。現金なものでこれをみて私も木戸氏も急いでサオを取りに車に戻
る。木戸氏は波止の先端部、私は波止の基部にそれぞれ陣取り、今回初めて各自1本ずつな
がらようやく全員がサオ出し。木戸氏が対馬のおみやげ25cm程度のチャリコを釣ったよう
だ。私にも、フエフキ・チャリコ等釣れて来る。ところが20〜30分経過したところで空が真っ暗
になって来た。最後に20cmオーバーの良型カサゴを釣って納竿とする。他の2人も危険を感
じて車に戻る。戻ると同時に大粒の激しい雨。間一髪で難を逃れた。またもやの激しい雨に、
全員のテンションも急降下。初日から夜釣りをすることなく17:30、ホテルへの撤収を余儀なく
された。明日の予報も思わしくない。先が思いやられる…。
10/20(第2日目)
 本日も天候は思わしくなく、朝から雨風。予定の9時出発に向け段取りはしているが、朝のT
Vの天気予報によると雨は午後から一段と強くなるとのこと。風も相変わらず強く、海上の波は
昨日の4mから更に悪化し、5mでうねりを伴う、ということで壱岐対馬の海上には強風波浪警
報が発令されている。あー、対馬という超A級ステージに辿り着いているのに足止めを食うとは
…。テンションは斜め下向きながら、何とか釣り可能な風裏ポイントはないか?とホテルを後に
した。
 9:30 濃部(のうべ)
 ホテルを出発し賀谷方面に向かう。目指すところは賀谷の反対方向に位置する濃部。ここ濃
部は全く情報のないところであり、多分、他の投げマンの釣行記などにも登場したことは皆無と
思われる。実は、前回釣行時も天気は良かったものの今回ほどではないが東よりの風に悩ま
された経緯があり、風裏となる濃部浅茅湾に面した集落でポイントとなりうる場所、及びそこへ
の進入路などをインターネットの詳細地図でリストアップしておいたのである。そんな訳で濃部
へは迷うことなく到着することが出来た(ただ、車のすれ違いが出来ない護岸沿いの細い道
(道というより護岸?)を暫く走ることになるが)。
 車の進入が可能な入り江の最奥部まで辿り着き、方向転換。少し手前にある集落センター
の駐車場に車を止め降りて海況を見てみる。後方を山に囲まれ、風は殆ど気にならない。先
ほどまでの台風のような状景からすると嘘のような感じである。これで釣れれば文句なしだ。各
自1本のサオで思い思いに釣り始める。向氏がいきなりキスの23cmクラス。おおっ、居るじゃ
ん!。私にも22cmのキス。おおっ、新ポイント開拓かっ。雨も小ぶりになってきたし期待。しか
し、一番湾口外側に陣取った木戸氏はイソベラと根ガカリに苦しんでいる。私も例にもれず二
投目以降は根ガカリとイソベラ。ヌカ喜びだった。
向氏の正面遠めは少し砂地があるようでキスが順調そうだ。私と木戸氏はいろいろと場所を
変更、奥の入り江へ行って投げてみたり手前を見に行ったり。しかし、どこでも根ガカリ必至み
たいな感じでダメ。終盤、木戸氏が向氏のポイントの方向に投げ込んだサオにアタリがあり、な
んと26.1cmのランクサイズのキスをGET!やはり居るところには居るものだと関心するが
あまりにもポイントが狭すぎる。天候が小康状態で持ってくれていたため、1時間半余り釣りを
することが出来たが、その間私はキス2匹にイソベラ・チャリコと根ガカリ多数でパッとしない。
もう昼前である。午後からは雨脚が強くなるとの予報。昼食を取るためホテル近くまで戻ること
にした。
 11:40 千尋藻(ちろも)
 濃部を後にし、昼食のため町へ戻るつもりで国道に出るが、そのとき何か直感めいたものが
走った。無謀かも知れないが一度ダメもとで千尋藻へ寄ってみよう。賀谷からは15分程度の
ポイントでもある。もう釣りは諦め、すでに気持ちは昼飯モードに切り替わっている2人に千尋
藻への寄り道の許可をもらい車を北上させた。
 千尋藻に着いたのは良いが、今回で初めて風裏とならないポイント。予想通り半端ではなか
った。沖向きの護岸は海面から4m程の高さがあるところであるが、部分的に波しぶきが護岸
を優に超えてくる。マイポイントである製氷工場前に車を止め、外に出ようとした瞬間、恐怖が
走った。ドアを開けたとたん、一気に体を風にもっていかれるのである。車から這いずり出るよ
うにして何とか外へ出てみる。まともに立っていられない。でも何故か無性にサオ出ししてみた
い気持ちに駆られた。過去にキス・エソのランクを取った実績場ではあるが、今回も特にメイン
では考えていなかった場所である。事前にさほど期待していなかったポイントの筈なのに、なぜ
こんな思いまでして…。自分でもよく分からないうちに風にあおられヨロヨロしながらも、何とか
サオ1本を伸ばし第一投。サオを持っているだけで体を風に持っていかれる。そんな姿を車の
中から見ている2人は笑っているが、こっちは大げさながら命の危険も感じていた。恐ろしくて
護岸の近くまで近づけない、おのずとヘッピリ腰で車にヘバリ付きながらさ引き始める。あまり
に護岸からはなれていたので、ハタからみれば釣りをしている様には見えないだろう。これじゃ
まるでヘンなオッサンだ。そんな中、2投目に25cm程度のオキエソがヒット。何故かこれで満
足(というか、これ以上は危険)。僅か10分ほどであったが、千尋藻の海に胸騒ぎを感じ、異
様に引き付けられていた気持ちが少し落ち着いた。
 千尋藻を後にして、美津島町まで一気に車で戻り一旦ホテルに入る。それと同時に雷雨とな
り激しい雨が降る。なんだか直感が冴えている。偶然にも昨日から間一髪のところで豪雨を回
避出来ている。その後、行きつけ?のパブ&レストラン「ライラック」で遅めの昼食を取り(当店
自慢のオムライス、ボリュームもありうまかったー)、再びホテルで待機に入るも予報どおり強
い雨は止まず、殺人的な?風も収まらず、夕方に晩飯を買いにスーパーへ出向くのがやっと。
夜半まで、波状に叩きつける雨は止むことがなかった。対馬に来て2日、殆ど全くといって良い
ほど釣りが出来ていない。2日続けて夕マズメ〜夜間という一番期待の持てる時間帯にホテル
に缶詰にならざるを得ないとは…。幸い、予報では明日の午後からは天候も回復、海上も4→
2.5mへ落ちるとの事。これまでの鬱憤を思いっきりぶつけてやるぞっと。
10/21(第3日目)
 朝、目を覚ますと同時に窓の外を見る。残念なことに雨は相変わらず降り続いている。風の
方は確かにやや弱くなっているようだ。TV・電話で何度も予報を確認、午前中は雨が残るもの
の昼からは晴れ間が覗くという。現在天候は良くないが、回復との事で自然と気合が入る。9:
00にホテルを出発。食料品を買い込んで、ようやく実質的な遠征釣行初日のスタートである。
 9:30 大船越漁港
 風と雨が依然続いている事もあって、まずは初日に様子を見に行った大船越の漁港へ入
る。各自、カッパを着込んでサオ1本で思い思いの場所へ。次から次へと小物がヒットしてくる。
イソベラ・キューセン・チャリコ・フエフキ等。そんな中、向氏がカワハギとウマズラの中間体?
のような得体の知れない魚をぶら下げている(帰宅後に調べてみるとナガハギとの事)。長年、
投げ釣りをしているがまだまだ知らない魚も多いものだ。
 小一時間、小物と遊ぶ。魚影の濃さは対馬ならでは。ウオーミングアップとしては十分であ
る。そのうち雨も小止みになって来た。期待感に胸が高まっていく。さていよいよ北上だ!
 11:35 千尋藻
 大船越を出て国道382号線に合流。本日はこの後、昨日胸騒ぎに駆られた「千尋藻」、前回
の実績場「佐賀」を予定している。当初の計画はここ2日間の天候不良で大幅修正。残り日数
3日ということで、実績場中心に釣れる場所を早く見つけなくては。千尋藻に行く前に賀谷の部
落へ車を進める。例のエソ・カワハギが望める磯投げポイントであるが、本日の海況では見る
までもなくバツ。対岸の様子を車で見に行く。対岸は護岸と突堤工事が進められており、湾内
ではあるが、また釣り場が広くなりそうだ。その対岸からはかなり遠い距離ではあるが、磯投
げのポイントである岬が確認出来る。言わずともがな磯は波を被っている。賀谷での釣りは明
日までガマン、ガマン…。賀谷を後にし11:35、千尋藻に到着。右手の突堤基部に車をつけ
る。木戸氏が突堤先端、私はマイポイントである護岸側の製氷所前、向氏は私の左手に釣り
座を取り、それぞれが釣りを開始した。このころには天候の心配も不要で久々に磯ブーツを脱
ぎ軽快である。さて第一投、底を取り、カケアガリを探してサオ立てにセット。ドラグを緩めて様
子を見る。程なく、ジーッとドラグが滑る。針ガカリを確認して早速巻き取りにかかると、横走り
であがってきたのは大きなカワハギ。いきなり26.2cmのランク物である。いやー2日間ガマ
ンした甲斐があった。こんなにあっさりと大物がくるとは。その後もランクこそないが、順調にオ
キエソ・キューセン等の良型が釣れて来る。隣に目をやると向氏もひっきりなしにサオを曲げて
いる。よし、2本目を準備だっ。皆も魚影の濃さを感じたのだろう。2本目以降のサオ出しのた
め、サオ袋を取りに帰ってきた。そこで不幸は訪れた。サオ袋を取り出し2本目としてスピンパ
ワー425EX−Tを取り出したところ、なんと穂先が折れているではないか…。もう一本のスピ
ンパワーは?、げげっ!これも折れてる!。サーフリーダー425CX−Tも同様。偶然にも4本
しまって置いたサオのうち、初日から手持ちで使用していた旧サーフリーダー405BX−T以外
は全て穂先が折れていたのである。これにはさすがにショックを受ける。
 不幸は私だけではなかった。木戸氏はサオ袋内に添え木をしてタックルの保護を入念にして
いたにも関わらず、リールがサオから外れ(私も折れた3本ともリールが外れていた)、なんと
パワーエアロの糸落ち防止機構装置のアングルが折れていたのである。木戸氏と私は一緒に
ク○○コに行って、荷物送りをした。ちくしょー、むちゃな扱いしやがって!。一気にテンション
が下がるが、釣りはまさに今が進行形なのだ。すかさず向氏が一本サオを貸してくれるという。
ありがたい、ここはお言葉に甘えて向氏のサオにパワーエアロを装着。気を取り直して2本ザ
オで攻める。その後も魚は釣れ続け、しょっちゅうドラグから糸が出て、ヘダイの27cmであっ
たり、時には36cmもあるフグだったり…。
木戸氏もトラブルのショックから立ち直り、突堤の先端で奮闘している。彼の方を見ているとな
にやらこっちを向いて手招きしているようだ。行ってみると足元には良型のマハタ。検寸してみ
ると、32cmある。木戸氏はサーフに所属していないので(元敦賀サーフ)直接関係はないが、
昨日の濃部のキスに続いて2匹目の立派なランクサイズである。対馬の魚の素晴らしいところ
は、その殆どが、鰭などに欠損がなく、コンディションの良いところだ。このマハタも堂々として
いて十分な風格さえ感じさせる。
 私の方も相変わらずで、他の魚が掛からないときは当たり前のように25〜30cm程度のオ
キエソが釣れて来る。全く退屈をしない釣りだ。しかし、一息つくとサオが気になる。何とか佐賀
へ行くまでに、夜釣りの前に、修復できないであろうか。ライターは向氏が持っている、ナイフは
木戸氏が。あとは瞬間接着剤。近くにスーパーやコンビ二なんて全く期待できない場所である
し…。最悪、往復2時間弱かけて美津島町まで戻るか?そこへ、製氷所にちょっとヤンキーっ
ぽい兄ちゃんがやってきた。セブンだったかワンエイティーだったか忘れたが、シルバーと山吹
色!?のツートンカラー、大口径のマフラーから轟音を響かせて。もうこの兄ちゃんに聞くしか
ない、と製氷所へ。どこかに瞬間接着剤を売っていないか確認したところ、事務所の奥でゴソ
ゴソして「もう固まって使えんかもしれんけど」と瞬間を貸してくれた。お礼を言い、すかさず修
復作業に取り掛かる。修復は3本とも問題なく完了。420〜423EX−Tというスペシャルバー
ジョンとして元気に復活!。製氷所の兄ちゃんとしばし談笑、福井からというとさすがに驚くのと
同時にあきれられた。借用した瞬間を返そうとすると「持っていってもらっていいよ、対馬の記
念に!」と笑顔で。口数が少なく、見た目はヤンキーだが(実際そうなのだろうが)いい兄ちゃ
んである。対馬っていいな、いい人ばっかりだ。サオの修復も完了、佐賀への期待も高まって
きた。アタリも遠のいた15:00、千尋藻を後にした。なお、向氏もこの千尋藻で真昼間にも関
わらずキスの27cmクラスをGET。彼にも今回遠征初の大物が釣れたという事で、全員が印
象を良くしての納竿となった。
 15:20 佐賀(さか)
 本日の夜釣りの予定場である佐賀に到着。佐賀は前回29cmクラスのキスにエソの大物と、
一番の釣果を見せた釣り場である。大物以外でも25cm前後のチャリコや20cmオーバーの
キスがまとまって釣れ、オカズ釣り場としても最高であり、整備された護岸・突堤からなる非常
に釣りやすいA級ポイントだ。3人ともこの釣り場が気に入っている。早速、それぞれがマイポ
イントへ散っていく。向氏は突堤、木戸氏はいつもの護岸左手、私もマイポイントである護岸の
中央部に釣り座を構える。早速2本のサオをセット。初っ端からドラグが滑ることを期待する。
佐賀は夕マズメにエソの大物の活性が最大化するからだ。ところがどっこい期待とは裏腹にサ
オは鳴りを潜めたまま。上げてみるとエソがついているが小さい。25cm程度か?サオ数を3
本に増やすがドラグを鳴らすのは25cmクラスのチャリコ、30cm弱のエソでありキスもたまに
24cmクラスが釣れて来るぐらい。何より、針ガカリした小魚に大型エソが喰ってきたり、その
形跡が残ってきたりという感じが全くない。今ひとつだなーと思っていたところにまた警察。再び
何故か木戸氏が事情聴取!?される(体がデカイからか、それとも見た目がアヤシイの
か?)。最終的には先日と同様、世間話になったようである。そのパトカーが去ったと思ったら
我々と同じ1台のキューブが…。サングラスのあの表情、もしかして?と思っていたら車からそ
の男性が降りてきて、私に近寄ってきた。「もー、どっかで見たことある顔だとおもったら!、ち
ゃんと行くときは事前に連絡くれないとー」との明るい声。やっぱりそうである、一宮サーフの○
島さんだ。聞けば東京の方の雑誌の取材を明日から4日間受けるとのこと、とにかく大ギスを
釣ってくれっといわれているらしく、どうしよっかなーと言っている。最近は対馬でも一箇所でキ
スのランクがまとまって釣れるということはまずないそうだ。ただ舟志湾で40cmのキスが出た
(地元の一般人)との永○さん(対馬在住の一宮サーフ:今年も対馬、女護島で60cmという日
本記録並のアマダイをGET)からの情報もあるということでそちらを狙ってみようかとも思って
いると話していた。こちらも、土曜日から滞在しているが悪天候で今日が実質的に初日だ、と
か、千尋藻が好感触であったことなどを話す。それを聞いた○島さんいわく、「それじゃなおさ
ら千尋藻を押さえないとー」 どうやら○島さんの情報では数週間前に大阪のサーフの面々が
千尋藻の突堤でマダイをかなり釣ったらしい。40cmクラスなら十分期待がもてるだろう、中に
は5〜6キロクラス(70cm前後)の大ダイの回遊もあるらしい。との情報をくれた。また今の時
期なら尾崎でやってみてもマダイが狙える。など、今後の参考となる情報を聞かせてもらった。
そんなつもる話の最中にもドラグが鳴るのは25cmクラスのチャリコ。20分ほど○島さんと話し
ただろうか?夕マズメの大物エソは期待薄である。仕方がないので○島さんに突堤に向が居
るからポイントを教えてもらえないかと言うと「OK!」と快い返事が返って来た。早速2人で突
堤へ向かう。向氏は○島さんの手ほどきを受け、テトラ上での釣りを始める。どうやら○島さん
も手持ちザオで始めた様だ。そんな姿を確認し自分の持ち場へ戻る。相変わらずチャリコが主
体、エソも釣れるのだが小さい。そんなに小さいならおとなしくしてくれていていいのに針ガガリ
するもんでハリスは殆どボロボロ。しょっちゅう仕掛けのメンテが必要になる。そんな状態で辺
りが薄暗くなったころ、ようやくキスの26cmを一匹GET。そのとき突堤の先端からオメデトウ
との声が聞こえる。あとで向氏に確認すると○島さんのアドバイスもあって目の前で28cmをブ
リあげた時のことであったらしい。その後、暗くなったころに○島さんが突堤から戻ってきて「こ
れからちょっと様子をみてくる、お互いに頑張ろう」とのエール交換。オイオイ、さっきまでは今
夜は釣りをしないで佐賀の寿司屋で飲んでるっていってたんじゃ…。19:00過ぎにかなりのス
ピードでキューブは闇の中に姿を消していった。その後、晩飯を食べてサオを見ていると一人
のオッサンのようなアンチャンのような区別のし難い人が近づいてきた。話をすると永○さんで
ある。永○さんとは初回の遠征時に○島さんに紹介(永○さんの勤め先である佐賀手前のスタ
ンドで)されて以来、7年ぶりである。たしか当時はまだ一宮サーフに在籍されていなかったハ
ズだ。永○さんも○島さんに負けず劣らずの話好き。あれやこれやと30分ほど話したであろう
か。○島さんから永○さんに携帯が入る。その間を利用して、黙々と突堤で釣っている向氏に
連絡を取ってみる。なんと30cmを釣ったとの事。早速、突堤先端まで小走りに向かって魚体
を確認する。新聞紙に巻かれた魚体はでかい!、体は結構スリムな感じであるが、頭が異様
にデカイ。頭(顔)がでかいのは大ギスならではの特徴だ。スケールで確認すると実寸で30.7
cmもある。生きている時は31cm程度あったかも知れない。ついに向氏は対馬の大ギスに遭
遇したのだ。羨ましい限りである。思わずデジカメを突堤まで持ってこなかったことを後悔した。
○島ポイントでGETしたとのこと。自分にも気合が入る。釣り場に戻り、永○さんに向氏が30.
7cmを釣ったことを話す。しばらくして、私の携帯に○島さんから連絡が入り、「向君30.7cm
釣ったんやって?、佐賀のポイントでは実寸でそのぐらい出れば最大級やわ」と賛辞を送ってく
れる。○島さんは志越・三根湾とまわったらしいがピンギスばかりでランクなしとのことであっ
た。私も残りの時間、攻めの釣りに転じる。○島さんに聞いていた岩盤際を積極的に攻める。
その途端、手持ちのサオ先が一気に持っていかれた。結構な横走りとまずまずの重量感。チ
ャリコやダイミヨウサギ、キスではない。寸足らずのエソでもなさそうだ。手前での締め込みを
軽くあしらい、足元まで巻き取ると良型のトカゲエソ。ランクは余裕でありそうだ。一気に抜き上
げる、42cm、堂々のBランクである。そして納竿直前の23:00前、突堤より戻ってきた向氏
の目の前でドラグが鳴く!、先ほどのエソより乱暴な感じ。寄ってきたのはでっぷりと良く肥え
た36.7cmの大物オキエソ。フエフキの幼魚に喰っており、念のため向氏にタモ入れをお願
いする。無事に取り込み、本日の大物は4匹となった。向氏は30cmオーバーの後、突堤でも
う一匹大物キスをGETしたとのことで彼も大物4匹。木戸氏もチャリコ・カワハギ・キスなどマメ
に釣り、全員、満足感を持って23:15、佐賀を後にした。
10/22(第4日目)
 前日の就寝時間が3:30頃と寝不足、加えて丸一日の釣りの疲れから体がだるい。しかし、
残された時間は2日、頑張らねば…。本日は木戸・向氏が宅急便にてこれまでの釣果を敦賀
に送るとの事。4日目ということもあってエサの補充(またこれが凄いアオムシであったのだが)
等の用事もあって昼前から賀谷、その後はマダイ狙いで千尋藻という行程である。
 10:20 賀谷(がや)
 本日は若干風があるもののさわやかな晴天。4日目にしてようやく天候の心配なしに釣りが
出来そうである。所用を済ませて賀谷の集落奥に車をつけたのが10:20。本日は15:00の
下げ止まりまで、賀谷の磯投げでオキエソ・カワハギの型物狙い。その後、少し早いが千尋藻
に移動して突堤先端からマダイ狙い(○島さんの情報では夕方になると地元の人がイカ釣りに
やってきてウロチョロし出すので釣り辛くなる、そこで早めに場所を押さえといたほうがイイとの
こと)で盛り上がるつもりだ。車をここに置かせてもらっても良いか地元の人に問い合わせると
「いいよいいよ、もっとこっちの奥に置いといて」とのこと。その指示に従い、車を移動させる。
まだ満潮直後で潮位が高く、磯渡りは出来ない。外へ出て、ゆっくりと朝・昼兼用の食事タイム
とする。するとさっきの地元のおっちゃんが釣り?と問い掛けてくる。潮が下がったら、ここから
磯伝いに岬まででるの?っとえらい詳しい。何でもそのおっちゃん、対馬の自然に魅せられて、
退職後広島から対馬に移り住んできたとのこと。この先の岬はいいらしいね。よく同じような格
好で釣りに行く人がおるよ、との事。波気がなければ磯まで舟で渡してあげるんだけど、とまで
言ってくれた。そのおっちゃんによると、7月にも対岸の護岸で大阪から来た数人組が夜通し
やって大きなキスをたくさん釣って喜んでたと話してくれた。早速、潮位が下がるまでは対岸で
やろうと決定。11:00前には各自が思い思いの場所で釣り始めた。一投目、サビき始めると
ところどころで詰まる。シモリが点在していそうだ。そして何投目かにイソベラ。うーん、今ひと
つ。オキエソを次々とヒットさせている木戸氏の右側に移動する。ここの更に右手には、突堤・
護岸工事の現場が広がっている。早く完成するといいな、と思いながらキャスト。いきなりアタリ
が出る。23cmの良型カワハギ。そのあとも退屈しない程度にオキエソ・イソベラ・キューセン
などが釣れて来る。そのうち結構強い引きでオキエソの35.8cmをGET。ラッキーである。期
待していなかった時間つぶしの場所でランクが取れた。キスは居ないものの、向氏のドラグが
ジィーと鳴り、大物寸足らずの良型チャリコが正午に釣れて来るなど、魚影の濃さも湾内にして
はまずまず。初夏など狙いの時期さえ考えればシモリなどの状況からも大ギスが回遊して来そ
うな場所である。この場所はひとつメモっておこう。そうこうしているうちに時刻はもう13:00
前。再び賀谷の最深部に車を移動させ、磯ブーツ・サオ1本・エサ箱と必要最小限の荷物で1
0分少々の磯渡りを行い、目的のポイントへ向かった。
 13:00 賀谷(磯投げ)
 息を切らし釣り場に到着。向氏は一投目からオキエソを釣っている。私も一投目からオキエ
ソだが30cmを切るサイズ。その後、一瞬大物?と思わせる重量感で33.5cmのオキエソが
釣れる。そのうち向氏が38cmオーバーのランク物を私の目の前で抜き上げる。闘志が湧く
が、いかんせん沖からの流れ藻がひどく思ったところに投げれない。水道側で投げていた木戸
氏も悪戦苦闘。木戸氏は早々に内海側にポイント移動していった。そのうちオキエソのアタリも
遠のき、イソベラが釣れてくる程度。そこで作戦変更、カワハギ狙いで行くことに。何度か打ち
返しをしていくうちにカワハギの棲家らしきルートを発見。26cmの大物をGET。続いてかなり
の引き、手前の沈み根に巻かれそうでちょっとアセるがなんとかかわして、浮いてきたのは見
た目にもでかいカワハギ。慎重に波に乗せ磯に引きずり上げる。やった、30.1cmのCランク
だ!勿論、自己記録更新の一匹である。これで対馬に来た甲斐があったというもの。一気に
気持ちが穏やかになっていく。その後も、カワハギ狙いに徹し、ランク27cmを追加。向氏にも
そのカワハギルートを教える。彼もランクのオキエソ以来、型物には恵まれていない。早速、向
氏がトレースすると20cmオーバーのカワハギが連続で釣れて来る。早く気づけば良かった
が、もう15:00前、撤収の時間がやってきた。
 15:30 千尋藻(ちろも)
千尋藻へ移動し、昨日と同様に本日のメインポイントである突堤基部に車を止める。木戸氏と
向氏は早速、マダイポイントと言われる突堤先端に釣り座を構える。私は、賀谷でカワハギの
大物が思いのほか釣れたことで満足。突堤には入らずに昨日と同じ、製氷所前の護岸に陣取
る。サオ出しの前に、私にはやらなければならないことが…。実は今朝、エサを萩原釣具店で
仕入れた際、瞬間接着剤を購入したのだ。早速、製氷所の事務所にお邪魔し、昨日の兄ちゃ
んに改めてのお礼と、新品の瞬間を手渡す。兄ちゃんは「そんなんいいのにー」と笑顔で対応
してくれる。これで気持ちもスッキリした、釣りに集中出来そうだ。事務所を出てふと横を見ると
トイレらしい入り口。何かあったとき安心やな、と思い釣り座へ。木戸氏と向氏はもう釣り始め
ている。こっちは丁度夕方前で次々と漁船が製氷所の氷供給にやってきて釣りにならない。で
も何故か焦りや苛立ちは感じない。そんな中、地元の人とあれこれお喋りをして過ごす。30分
ほど話しただろうか?漁船も一段落したみたいなのでようやく第一投。ドラグが滑るのを期待し
ているが、音沙汰がない。しまった、余裕持ちすぎで夕方の時合いを逃したか?そんな時、突
然ドラグが結構な勢いで滑り出す。かなりの重量感と引きにこれはっ、と期待したが急に軽くな
った。そして妙なものが上がってきた。針には22cm程度のボロボロになったダイミョウサギと
30cmに満たないオキエソ。ダイミョウサギは頭から尾びれまでボロボロであり、このオキエソ
のせいではなさそうだ。いったい何だったのか?このサイズの魚を丸呑みするとは…。まあ、
対馬では良くあることであるが…。その後、全くアタリが途絶える。ダメもとで突堤へお邪魔す
るか、ということで暗くなって来たのを機に釣り座を移動した。取りあえず先の2人の邪魔にな
らないように一番内湾側からのサオ出し。それにしても本日現地調達したアオムシはバカでか
い(大きい物は体の幅が1.5cm程ある!)。これならマダイにもアピールしそうだ。マムシでも
こんなにぶっとい個体はまずいないだろう。頑張ってくれよっと願いをかけて投入する。暗くなっ
て間もなく、イカ釣りの地元民がやってきた。我々の外向きでサオ出しを始めたが、何も言わ
ずキャストを始めるので危なくってしょうがない。一番迷惑をしたのは木戸氏だったろう。その
人数も2人・3人と増えてくる。やりにくくってしょうがない。○島さんが言っていたのはこのこと
だな、と実感する。でも確かに結構ミズイカ(スルメイカ)が好調に何バイもあがっている。これ
じゃ仕方ないかって感じである。お互いに遊びで楽しみにして来てるんだから…。
 好調なイカ釣りに比べ、こちら投げの方は一番船道側に投げている向氏がチャリコ・ワニゴ
チとポツポツ釣っているだけで、その横のイケス前に放っている木戸氏もチャリコが少々、さら
に内側の私にはアタリすらない。時刻は19:00、寒さが堪えて来る。これは期待できんなー、
と思っていた時、それは突然やってきた。サオ先を軽くお辞儀させる程度のアタリで"ジッ"とド
ラグ音、おっアタリか?程度の認識。その後暫くして少し長めにジーッ。何か来てるな。そして
間髪を入れずジャーッ!とドラグが悲鳴をあげた!!。
アタリを一部始終見ていたため、これは本命と直感。サオに飛びつき、ドラグの調整に入る。
結構な重量感と引きであるが、この釣り場は足元の捨石以外は根ガカリの要因となるものは
ないので余裕を持ってのやり取りが出来そうだ。時折突っ込んでくるがドラグを調整し、締め込
みの際に軽く糸が出る設定にしてやり過ごす。道糸は5号通し、針はカレイバリ13号、ハリス
は4号であり、針を飲まれてさえいなければ余裕はあるはずである。幸いなことにヒットしたサ
オも425のEX−Tと軟調で仕掛けには一番負担の掛からないタックル。サオさえ立てていれ
ば必ず取れるという確信があった。とはいえ、これまでの魚とはケタ違いの引き。時間をかけ
てもいいからと自分に言い聞かせてやり取りする。3度ほどの締め込みを糸出し、サオのタメ
で乗り切り、タモをお願いしようと見ると向氏がすでにスタンバイしてくれていた。もうすぐ奴が
姿をみせるはずである。海底がぼんやりと明るくなった。そして奴が浮かび上がってきた。やは
りマダイだ!それも結構な型である。向氏が一発でタモ入れを決めてくれジ・エンド。
タモに入ってすぐに針が外れる。そこで初めてこれだけの魚が手中に出来たことを実感し、感
謝する。実寸54cm(拓寸56.0cm)。勿論、自己記録更新である。私にとっては立派すぎる
マダイだ。それ以降はマダイのタタリ?(体が冷えたせい?)か強烈な腹痛に見舞われる。トイ
レが近くにあることをチェックしておいて良かった。2度もトイレに駆け込む状態となり、釣りは
半ば片手間にやっているような状態。21:00過ぎ、30cmはあろうかというダイミョウサギが
釣れただけであった。木戸氏・向氏もマダイを目指し、寒い中打ち返しを繰り返したがチャリコ
レベルからサイズアップせず、22:45納竿とした。なお、○島さんからTELが入り、キスは不
調とのこと。昨日から深浦・見世浦方面でキスの大物4匹はキープしたものの、30cmアップは
無いとのことであった。
10/23(第5日目)
 実質的な最終日である。本日も出発時にエサを現地調達。釣行先として実績場を再訪する
か、それとも○島さんから勧められた尾崎方面に行くか悩んだ末、どうせなら尾崎方面を見て
こようということになった。大物が確実な釣り場を外しての選択。ある意味で英断であった。
10:15 吹崎(ふくさき)
 今回初めて、ホテルを南下。尾崎方面へ車を走らせる。尾崎方面はアップダウン・道の細さ
など非常に運転しづらい印象があったが、結構道路改良工事がなされていてあっという間に吹
崎に辿り着いた。天候は穏やかで波気もなく鏡面のような海況。各自手持ち1本でサオ出しす
る。私にチャリコ、木戸氏にキューセンと魚は釣れては来たが、3年前と同様、ここは魚影が薄
いようだ。水深もあるのだが…。ここは夏の釣り場か?。そそくさと仕舞い、今里へ移動するこ
とにした。
10:50 今里(いまさと)                                      
 3年前、キスの初ランクを取った場所である。一見釣れそうな感じはあるのだが、この日もサ
ッパリ。突堤先端に私と向氏、突堤中央部沖向きに木戸氏が陣取って各自が3〜4投してみた
が、吹崎よりも生物反応が感じられない。木戸氏がテカミを釣っただけで場所移動をすること
にした。
11:25 八斗蒔壇山下
 尾崎への道のりで前回やれなかったこのポイントで私と向氏がサオ出ししてみる。路肩に車
を止め、海岸沿いに下りていくと福岡ナンバーの車が一台とまっていた。先客は一人、それも
投げウキ釣りである。取りあえず、道路上から岩盤の位置を頭にいれ護岸に降り立つ。どえら
い銀バエが多い。よく見ると路肩に無数に咲いているマーガレットの花に一匹づつ集っている。
刺激して一気に飛びたてられたら最悪だ。そっと仕掛けを投入する。沖はシモリが多そうだ。イ
ソベラ・キューセンが釣れて来るが今ひとつ期待できそうにない。3投ほどで見切りをつけ、尾
崎に向かった。
 12:00 尾崎(おさき)
 当初は釣行計画に組んでなかったが、○島さん(永○さん)の勧めもあり、尾崎まで来てしま
った。対馬最終日はここで心中である。ただ今回勧められた釣り場は一番左手から延びる波
止外向きである。これまではT字波止でしかサオ出ししたことがなかったので、実質初めての
場所といって良い。底の状態などの情報は全くといって皆無。もともと尾崎は根ガカリが多く難
しい釣り場である。
 尾崎での詳細は割愛する。なぜなら、結果からすると思わしくはなかったからだ。各自が、特
に向氏が底の状態に悩まされ続け、改めて尾崎の難しさを実感した(過去、T字波止でもそう
であったが、尾崎は潮の流れる方向(満ち引き)で根ガカリの状態が極端に変貌する)。しかし
ながら夕マズメ以降は各自がそれぞれの持ち場で攻略法・釣り方を確立し、25cm前後のハ
マフエフキ・イトフエフキが一時入れ食いに。また19:00前後には向氏の手持ちの竿に彼いわ
く今回の遠征で最大級の強烈なアタリ、19:30頃には私のサオにも強烈なアタリがありドラグ
が激しく悲鳴をあげ、左右に振られた挙句、バラシに終わるなど、惜しくも結果には結びつかな
かったが、再訪の際にはリベンジが必要な場所として新たに記憶されることとなった(このポイ
ントも70〜80cmクラスのマダイが回遊するとの事)。大物こそ昼間の内に釣れたトカゲエソ
の35.1cm一匹に終わったが、アカエソ、イラ、オキナヒメジ、ハマフエフキ・イトフエフキなど
尾崎ならではの住人が賑やかに歓迎してくれた。そして、暗くなってからは前述した大アタリな
どもあって、21:00の納竿まで、もしや、という気持ちにもさせてくれた。たとえ釣れなくても一
級ポイントでサオ出しすることさえ出来れば、やはり対馬、さすが対馬なのである。サオも今回
4本準備して臨んだが、結局、全行程においても、一発狙いの夜釣りであっても、MAX2本並
べるのが精一杯であり、またそれで充分なのだ(これ以上並べても効率が悪くなるだけ)。
 最終日の夜、せっかく自分の仕掛けにアタックしてくれた大物をバラシた悔しさに苛まれて、
後ろ髪を引かれる思いで納竿、今回の遠征釣行を終了とした。しかし、ふと空を見上げると、
いつの間にかスッキリ晴れ上がって、穏やかな月夜である。またまた対馬の魅力に見事に引
き込まれてしまった。また、この日の帰りの道中、尾崎から加志の山道でまたもや対馬ジカの
子供が顔を見せてくれるなど、島を挙げて「また来てね!」と言ってくれているようだった。
10/24(最終日) 
 対馬最後の朝、この一週間で一番と思われる快晴・微風の爽快な天気である。昨日の晩(実
質、今朝の早朝)、同室の向氏につられ、2時半過ぎまでかけておおまかに荷造りを済ませて
いた事もあって、あまりバタバタとすることはなかった。残りの荷物をまとめホテル近くの宅急
便へ。勿論、私と木戸氏はサオ袋を手持ち荷物として持ち帰ることにしたのは言うまでもない。
残り僅かな対馬での時間、レンタカー返却の前に対馬最大の港、厳原港へ立ち寄る。素晴ら
しい景色に思わずデジカメのシャッターを押す。またここに帰って来たい、という強い気持ちが
こみ上げてくる。波止の上で同じように海を眺めている他の2人も同じ気持ちだろう。おのずと
無言になっていく…。
 帰路、福岡空港での待ち時間の間に○島さんに連絡を取ってみる。多分、釣り場を飛び回っ
ており携帯は繋がらないだろうな、と思っていたが、丁度、仁田の知り合いのじいちゃんの家に
上がりこんで昼飯をご馳走になっているところ、との事であった。○島さんもここまで3日間、仁
田でキス・イトヨリの大物を追加し、合計、ランクは10匹とのことであったが、今のところキスの
30cmを超えるサイズはないとの事。明日まで取材のお付き合いをしなければならないそう
だ。数年前だったか、二十数年ぶりにキスの日本記録が数mm更新された、と大騒ぎとなった
が、その記録をmmなどというセコイことはいわず大幅に更新することとなる「幻の40cmキス
GET!」は、絶対に「対馬」で、「○島さんが達成するって信じてる」って冷やかし半分で話する
と、以外にも結構マジな感じで「出来ればそれを狙ってる」って考えを明らかにしてくれた。ぜひ
とも頑張って欲しいものである。全日本サーフ屈指の大物キラーである○島さんが、我々の感
覚からは逸脱している「その幻」を、実在するものと信じて止まず通い続ける場所、それが対馬
である。すなわち対馬でサオを出すことによって我々のようなものでもその挑戦権を容易に得
ることが出来るのだ。キスに限らずマダイ・カワハギ・エソ等、ワンサイズ上の大物狙い。また、
大物に拘らなくても、これでもか、という濃い魚影と魚信(実際、大物という具体的な目標がな
い木戸氏がオカズ釣りと割り切っても通い詰める魅力)。いろいろな意味で対馬はまだまだ
我々キャスターにとっては底知れぬスケール感のある憧れの釣り場である。
 結果として今回の釣行は実質3日間ながら大物10匹。向氏も5匹。初日・2日目は苦行を強
いられたが、匹数はともかく、30cmを余裕でオーバーするキス、マダイの大物、が現実のも
のとなり目標を達成することが出来たと思う。しかしながら今後もさらに対馬に対する熱い思い
は加速していくに違いない。早くも次回の再訪が待ち遠しい。
 最後に木戸氏には本当に感謝せねばならない。釣行への段取りは勿論、実釣時には毎日、
晩御飯の準備をしてくれた。毎度のことだが、彼がいなかったらこの遠征は成り立たない。向
氏や私が大ギスやマダイを手中にすることはなかったのだ。この場を借りて改めて御礼を言い
たい。ありがとうございました。これからもよろしく。
                                                        
                                                    以上



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