’99年 対馬遠征釣行記

'99 対馬遠征釣行記                     
   
九州の北方約80kmに浮かぶ海外に最も近い島、対馬(韓国 釜山市まで49.5km)。敦賀を
含めた北陸圏とは全く異なる複雑に入り組んだ山並みと波穏やかな入り江、一説には何百と
も言われる投げ釣りのポイントがあちらこちらに点在しそのロケーションと魚影の濃さ、型の良
さから一度訪れたら忘れられない我々キャスター憧憬の地である。そんな対馬も釣り荒れが目
立ってきたと言われて久しいが、我々の地元に比べればまだまだ魅力的な釣り場である。
このほど前回釣行から実に4年間、待ちに待ってついに再訪の運びとなった。今回は前回の
同行者、木戸氏に加え今や敦賀サーフの主力でもある向氏を迎え3名での釣行である。前回
の釣行では偶然にも対馬の神様、一宮サーフ○島氏のサポートがあり何とかランク物11匹を
キープ出来たが、メインターゲットであるキスの大物は26cm一匹・他にランク外で24cm一匹
と5日半対馬を釣り歩きながら手中にしたキスが僅か2匹、と対馬での釣りがいかに難しいも
のであるのかを実感した。今回はそこら辺りの状況も踏まえて、繊細に且つ大胆に対馬という
ステージに再チャレンジである。
10/23(第1日目)
7:40自宅を出発、8:00に木戸氏・向氏と待ち合わせ場所にて合流。わざわざ成枝氏が見送
りにきてくれており、体調のすぐれない私にと栄養ドリンクを差し入れてくれた。引き続き三水
釣具店にて餌を調達、アオムシを中心に一人当たり¥12000を購入(約3日〜4日分)。福田
さんが「餞別」と言って、マムシ¥4000分を店には内緒でサービスしてくれた。感謝!。その
後高速にて走ること約1時間、9:20には小松空港に到着。時雨模様で北よりの風が強く、到
着便が相次いで遅れる中、なんとか定刻の10:55、福岡に向けて飛び立った。福岡空港で約
1時間の待ち時間を経てエアーニッポン対馬行きに乗り換え。北東の強風のため少し機体が
揺れはしたが、定刻より5分遅れの14:15無事対馬に到着した。 
空港で手荷物を受け取り、出口に向かうとすでにホテルの送迎車が迎えにきてくれており、早
速乗車してホテルにチェックイン。レンタカー手続きと部屋への荷物搬入・仕分けに一汗かい
て15:10、日産キューブに目一杯の道具・荷物を積み込みホテルを出発した。ホテルからほ
どない距離にあるスーパー(フードパワーセンター・サイキ、9:00〜23:00まで営業の便利な
お店)で食料品を買い込み、本日の目的地である尾崎方面へ車を走らせることにした。
16:00 吹崎(ふくさき)
対馬での第一投は尾崎への道のりのほぼ中間点に位置する吹崎港である。
ここ吹崎は車横着けの楽チン釣り場ながら水深も充分あり、マダイの60cmクラスの実績もあ
るという場所だ。ここで夕マズメまでの時間、遅い昼食を取りながら様子を見てみようという魂
胆であった。しかし、車を降りると正面(東)からの強風、おまけにこんな入り江の最深部であり
ながら白波が立つ状況、それでもめげずにタックルの準備を始める。車の正面に木戸氏、そ
の右手に向氏、そして私は一番右手の突堤に釣り座を構え、記念すべき対馬での第一投…。
しかし、気合いとは裏腹に折からの強風で飛距離が出ない。おまけに手前までサビいてきたと
ころで根ガカリ。船道を狙っても同じこと、魚信もないことから弁当をパクつくことに。他2名にも
アタリがない模様。潮は満ち込みで動き始めているにも関わらず向氏のサオにウミケムシが
釣れてきたことで、このポイントには魚がいないと判断。僅か30分足らずであるが見切りをつ
けポイント移動することにした。結局このポイントでは最後に20cm強のトカゲエソが向氏のサ
オに釣れただけであった。
 17:15 尾崎(おさき)
吹崎から車で移動すること15分足らず、向氏の希望もあって超有名ポイント尾崎へ到着。ここ
尾崎はマダイ・キスのポイントであり当たれば大釣りも可能なポイントではあるのだが…。そう
いえば4年前、対馬での大物初GET(カワハギ)がここ尾崎であったことを思い出す。でも尾崎
は釣りにくいんだよねー、根ガカリが多くて…。
ここでも強風・白波は相変わらず、天気は晴れですごぶる恵まれているのだが条件的に良いと
は言い難い状況である。4年前と同様、焼却炉前に車を止め、その脇に木戸氏・右手に向氏、
左手に私と釣り座をとり、夜釣りということもあって各自2本〜3本のサオを前方のイ
ケス際に投入した。さすがに尾崎、一投目から活発にアタリが出る。しかし釣れてきたのは対
馬名物のオキエソ、その後もネンブツダイやオオスジイシモチのエサトリが針掛かりしてくる。
たまに明確なアタリで期待させるがクロサギの良型であったり、尾崎の住人イトフエフキのマシ
な型(といっても30cmを切るサイズ)。他の2人も同様の釣果である。
暗くなってからも相変わらず左斜め前からの強風は止まず、イケス際へのコントロールもまま
ならない。加えて折からの大潮満潮に向け、左から右へとかなり強烈な潮の流れも相まって各
自が根ガカリ連発。アタリがあってもモンツキやイトフエフキ、クロサギの20〜27cmばかりで
キス・マダイは素振りもなし。本日は尾崎で心中と心に決めていたがこのままでは時間の無駄
と判断、釣り易さ(根ガカリの減少)を考慮し、潮止まりまでは尾崎にとどまったが釣果は相変
わらずであったため、キスの姿を求めポイント移動を決意した。
 21:30 今里
尾崎から道を戻って今里へ。道すがら入り江に目をやると、潮が下げ始めており良さそうな海
況。入り江右手の突堤基部に車を止め、各自のサオ1本と限定し突堤へ。突堤中間部に木戸
氏、突堤先端に右手に私、左手に向氏が陣取った。相も変わらず沖合から強い風と高い波、
半日とはいえ強風に晒されっぱなしでかなり身体は疲れている。しかしキスの顔を見るまでと
気合いをいれ仕掛を投入、突堤先端部は船道になっているためかなりの水深がある。アタリ
のないまま仕掛けを動かすこと数回、ついに明らかに風・波の影響とは異なるサオ先の変化を
とらえ、巻き上げた。根ガカリがなく、泥底であるためゆっくりとバラさない様リーリング。手前で
軽い締め込みを見せ、上がってきたのはまさにキス!、それも敦賀のキスとは比べものになら
ないほど太い。あまりの太さに寸法が短く見えたため大物であるとはピンとこなかったが気を
取り直して検寸、26.4cmあった。初日にしてキスの大物を手中にできるとはラッキーである。
しかし、その後キス22cmを追加した後はアナゴ・ゴンズイの攻撃に遭い本日は納竿すること
とした。他の2人はゴンズイのみの釣果に…。
初日にして前回釣行で手中にしたキス2匹を釣ることが出来、幸先のいいスタートを切ることが
出来た。なおこの帰路の際、加志から吹崎への山道で国の天然記念物であるツシマヤマネコ
に遭遇した。前回のツシマジカに引き続き珍しい動物をこの目で確認することが出来、対馬の
自然の素晴らしさを改めて認識することが出来た。
10/24(第2日目)
8:45 竹敷入り江
相変わらず風・波とも強い。本日は竹敷の地磯を考えていたが、現地で確認したところ予想以
上に潮の満ち込みが早く、波が高い影響もあって、とても歩いていけそうにない。やむを得ず、
少し手前にある小さな入り江で試しにサオを出してみる。対岸まで約120mあまり、細糸で遠
投すれば対岸のカケアガリぐらいまでは届いてしまいそうな小場である。ただ対岸が風を遮っ
てくれるため、波も無く、非常に釣りやすい。少しでも足場のよいところに釣り座をとり、流線1
0号の2本バリ仕掛けにアオムシをつけ入り江の中央部に仕掛けを投入、すると予想以上に
水深がある。仕掛けの投入位置から考えても信じられない位に道糸に角度がつく。充分に糸
を送り込みサビき始める、と同時に明確なアタリ。巻き上げると20cmクラスのキスがダブルで
ついている。これをみた2人もサオを出し始めた。続いて第2投、同じパターンでまたキスのダ
ブル。しかし、いかんせんキスが小さい。もう一匹のキスを追加したところで見切りをつけ他の
2人の様子を見に行く。向氏はキューセン・イソベラ、木戸氏はテカミハゼ・フグと思わしくない
様子。当初の予定通り風裏のポイントである黒瀬に移動することにした。
9:40 黒瀬
黒瀬は竹敷から一つ峠を越え、下ったところに位置するポイントである。北向きに開く湾口以
外、3方を山に囲まれた波静かな入り江であり強い北東の風をもシャットアウトしてくれる。思
惑通り風・波とも全くなく、昨日からの状況がまるで嘘のような静けさである。折からの快晴でじ
っとしていても暑いくらいだ。ここでは道路の上からイケスやカキの養殖棚のロープ際を探る釣
りとなる。漁港近辺からスタート、度重なる根ガカリを克服し、移動しながらの釣り。
かなりロープが複雑に入っているようだ。アタリのないまま何度か場所替えし、ガードレール切
れ目付近のカキ養殖棚のポイントで仕掛け投入。着底と同時にサオ先を1mほど一気に持っ
ていくアタリ。針には乗らなかったがキスの大物だと直感、この辺りを攻めることにする。ポイン
ト決めしての2投目、少しサビいたところでアタリがでる。巻き上げると23cmほどのマハタ、続
いて26cmのマアジと立て続けに魚はヒットしてくるがキスの姿は見えない。そのうち木戸氏が
私の左手に入り投げ始めた。横目で見ていてもなかなかいいポイントに仕掛けを投げ入れた
ので「ナイス」などと声をかけていたところ、その木戸氏のサオにアタリ。横目で見ていてもサオ
が結構曲がっている。小物ではなさそうだ。抜き上げた魚を見てみると32cmの色鮮やかなマ
ダイ。こんな日の高い時間にマダイのランククラスがいとも簡単に釣れてくる、対馬であること
を実感出来たワンシーンであった。直後、木戸氏が25cmの良型キスを立て続けにゲット。自
然とサオを振る手にも力が入ったが、その後小一時間余り、アタリもなくなったので予定通りポ
イント替えをすることにした。
11:20 大船越
午後からは14:00の下げ止まりのタイミングを狙って有名ポイントである賀谷での磯投げを予
定しているため車を国道382号の豊玉町方面へ向かわせる。ここまで向氏は大物が無く、中
型のキス・ハタ等しか釣っていないため移動途中に前回の釣行でベラの大物をゲットした大船
越の水道へ立ち寄ることにした。ここはイソベラ・キューセンの非常に濃いところである。キュー
センを数多く釣ってその中にビックサイズが混じるといった感じの釣り場である。船滑りに車を
止め、磯際を見てみるがまだ潮位がさほど下がっておらず前回投げたポイントまでは行くこと
が出来ない。向氏にはやむをえず船滑りから投げてもらう。私もついでに漁港側でサオを出す
がいきなりキューセンとイソベラのダブル、イソベラとフグのダブルと忙しい。魚影の濃さを確認
してサオを仕舞い向氏の様子を見に行く。思わずスケールを当ててしまいたくなるようなキュー
センを釣ってはいるが、いかんせん根ガカリに苦しんでいる模様。やはり初めての対馬というこ
とで地形の把握や潮の流れの速さに戸惑い、自分のスタイルの釣りが出来ないことにアセリを
感じているようだ。時間の関係上、数投でこのポイントを立ち去ることにした。
 12:30 賀谷(がや)
 12:30賀谷に到着、港の最深部に車をつける。車を降りて潮位を確認するとかなり下がっ
ており、これなら磯渡りも可能と判断。磯ブーツを履きサオ1本と必要最小限の荷物をもって磯
伝いにポイントへ。ここは前回釣行の際、○島氏に教えてもらった一級ポイントである。最近キ
スはつれなくなったがエソ・カワハギの大物が狙って釣れる場所であり、特にエソ(オキエソ)の
魚影は抜群である。また、釣りサンデーの小西会長が大ギスのポイントとしてよく記事にする場
所でもある。
ところが磯伝いに湾口の方向に出た途端、沖からのもの凄い風と白波の手荒い歓迎。ここま
で歩いてきた以上、引き返す訳にも行かず必死の思いでポイントにたどり着いた。強い風に煽
られながらも大物目指して第一投、さすが賀谷、一投目からエソのアタリで30cm弱が釣れて
くる。しかし、波が荒いため、手前まで(手前の根際も大物のポイント)仕掛けをサビいてくるこ
とが出来ない。また、取り込みにも苦労しそうだ。私の左手に入った向氏は根の状況が把握で
きず2投目に寸足らずのオキエソをダブルで釣って以来、根ガカリ連発で苦しんでいる。そうい
う私も根の状況は把握していながら波の影響もあって手前の根際で道糸が根を巻いたりして
悪戦苦闘。水道にポイントをとった木戸氏だけが着々とオキエソをヒットさせ、その引きを堪能
している。そうこうしているうちにオキエソも釣れなくなってきた。イソベラだけが根際で遊んでく
れる状況が続く。向氏はこのポイントを諦め水道側に移動していった。
しばらくすると再びオキエソがヒット、カワハギもアタックしてくるようになった。しかし、いずれも
型が小さい。前回の釣行時にくらべ平均で5cmほどサイズダウンしている(オキエソも前回30
cmがアベレージであったが、今回は25cmぐらいがアベレージ)。これでは大物の可能性は低
いと考えている最中、沖目に投げた途端、サオ先をグイッと押さえ込むアタリ。偶然ポイントの
ビデオ録りをしていた木戸氏のカメラがこちらに構えられる。ここで大物をとったらカッコイイ。
幾度かの強い締め込みを強引に巻き上げていくとヤツが姿を現した。でかいオキエソである。
目測でも40cmは優に越えているだろう。ヘタしたら45cm位あるかも知れない。トカゲエソと
違ってオキエソの40cmオーバーは一回り以上大きく、魚体に迫力・重量感がありまるで丸太
のような魚体だ!。前回の釣行でも腐るほどエソを釣ってはいるが、オキエソのこんな大型は
初めてだ。たかがエソなのであるが急に心臓がドキドキする。大荒れの波の中、慎重に磯際に
寄せる。波の様子をみて抜き上げのタイミングを図る。そこで一瞬仕掛けを緩ませた瞬間、ヤ
ツはサヨナラしていった。勿論ビデオにはバラシという格好悪い姿が映っていた。その後も大
型のエソが廻ってきているようで、針に掛かった30cm弱のエソに取り込み際で果敢にアタック
してくるなど挑発を繰り返す。しかし、込み潮にかわったため帰路の水没という危険性がうまれ
る。残念ながらタイムアップ。当てにしていた賀谷で大物をキャッチ出来ずに疲労感だけを増
幅させ車に戻った。
15:30 千尋藻(ちろも)
賀谷からの移動の際に塩浜、見世浦とポイントを見て回る。しかし4年前と地形が変わってお
り、さっぱりポイント確認出来ないまま本日の夜釣り場、千尋藻に移動する。ここに到着するこ
ろには釣行前から風邪をひいていたことと疲れ、加えてずっと強風に吹かれていたこともあり、
頭痛が激しくかなり身体がしんどい。自然と釣りに対し億劫になっていく自分がわかる。この釣
り場は前回釣行で木戸氏が夕マズメに45cmオーバーのマダイを仕留めた場所で有望ポイン
トの一つである。木戸氏と向氏はマダイのポイントである左手の突堤へ、私は右手の突堤へ入
りたかったのだがアジ釣りの先客がいたことや身体の不調もあって前回エソの大物が釣れた
突堤の根元の護岸でサオを出した。
今夜はこのまま夜釣りに突入するということもあって、置き竿で2本のサオ出し。本来なら3本
出したいところであるが、いまは身体がついてこない。そんな気力とは裏腹に一投目からアタリ
がでる。魚が掛かっていることを確認し巻き取りにかかるとこれが結構な重量感。はて何だろ
うと巻き寄せる。結構立派なオキエソだ。賀谷のヤツほどの大きさは無いにしても良型で見た
目にランク物であることがわかる。今回は慎重に取り込もうと魚にテンションをかけながらタモ
をセットする。無事すくい上げ、39.3cmのオキエソを手にした。それから夕マズメの時間は
オキエソのオンパレード、寸足らずばかりを計8匹をゲットした。前回釣行時よりもこのポイント
は明らかにエソが濃い。不思議に思っているとその答えは暗くなった頃に出た。
18:00過ぎ、強風によるサオの揺れとはことなる小さなアタリ。巻きに掛かると多少の手応
え、小型のトカゲエソだと思って引き抜いたところキスだった。それも26.2cmある。前回はこ
のポイントでキスの型など全く見なかったのに…。通りでオキエソが多かった筈だ。キスがまわ
っていた証拠である。思っても見ないところでキスを手に入れた、満足である。これを機にこの
場所での釣りを納めることにした。
キスの大物が釣れたことをマダイ狙いの2人に知らせる。マダイ狙いはどうやら不発に終わっ
たようだ。2人ともこちらに移動してくるらしい。ちょうどサオ納めを考えていたので場所を空け
た。しかしその後、小一時間の間には木戸氏に小型のキスが1匹釣れただけで思わしくない状
況。初参加の向氏はまだ大物に遭遇していない。何とか釣って欲しい。自分も少し釣りを休ん
だためか気力が戻ってきた。そこで当初予定していなかったとっておきの楽チンポイント、佐賀
への移動を提案した。
 21:30 佐賀(さか)
千尋藻から県道39号を北上し佐賀へ到着、読みは当たりポイントは全くの風裏で釣り易い状
況。加えて満潮止まりから下げの方向で潮が動いている。何か釣れそうな予感がする。まずは
何とか大物を釣って欲しいがために一宮○島氏のポイントである波止の先端に向氏を向かわ
せる。私と木戸氏は車から正面の護岸でとりあえずサオを出す。この場所は前回キス・エソの
大物をゲットした実績場だけに気力も再び充実してきた。とりあえず3本のサオをセット、30m
ぐらい左手でサオを出している木戸氏には頻繁にアタリが出て手のひらサイズながらチャリコ
をキープしている模様。そんな中、私のサオにもアタリ。釣り上げてみると型のいいダイミョウ
サギだった。しばらくしてまずまずのアタリでオキエソの35.0cm、先ほどの千尋藻に次いで
大物を手中にする事が出来満足感で身体の疲れが癒やされていく。ここ佐賀は○島氏いわく
キスの通り道らしく、対馬では珍しく待ちの釣りが出来る場所である。待ちの釣り、イコール敦
賀での置きザオ釣法が通用するのだ。エソが釣れたのを契機にサオ数を4本に増やす。その
直後にサオ尻が軽く浮きかけるアタリがでる。エソとは違うアタリで上がってきたのは26.0c
mのキス、また大物を追加。本日4匹目の大物だ。それ以降、次から次へと魚が釣れるのだ
がそれは寸足らずのエソであり、23〜25cmのチャリコであったり中型のキスであったり、時
には20cmオーバーのキスの頭だけだったり、まあとにかく忙しい。隣の木戸氏も同様の釣果
でオカズ釣りを充分に楽しんでいる。そんな中、予め納竿時刻と決めていた23:00、向氏が
戻ってきたのを確認して長い一日にピリオドを打った。尚、向氏は波止の先端部から投げて2
5〜27cmの良型チャリコを数釣っていた。また最後の一投で、ついに念願の対馬での大物
第1号となるキス26.0cmをゲット。ほかにも大物らしきアタリで根に持って行かれたことが2
度あったそうで佐賀の釣果には満足した模様であった。今回案内役の私としても彼に大物が
釣れてホッとしたのが正直な心境であった。身体は疲れてはいるが場所移動が成功したことも
あり、気分良く宿に戻ることができた。
10/25(第3日目)
本日も相変わらず北東の風が強い。当初の予定ではマダイ・キス狙いで大船越漁港や、美津
島ケーソンヤード(女護島・万関瀬戸)、赤島方面を考えていたのだが全て東向きの釣り場で
あるため断念する。また食料の買い出し等に手間取り、スタートが遅れたこともあって今日のと
ころは昨日回ったポイントで風裏となるところを再び攻めてみることにした。
10:00 黒瀬
前日マダイが上がった黒瀬に再釣行。風もなく静かな中でのんびりムードの釣りである。しかし
釣果の方は不調、キスやハタなど小物ばかりでパッとしない釣果。1時間半程度頑張ってみて
も、昨日の様な大型キスと思われるようなアタリも皆無。ましてやマダイどころかチャリコも釣れ
ない。早々にポイント移動することにした。
12:50 賀谷
黒瀬からの移動の際、住吉瀬戸・鴨居瀬漁港と寄り道し、ポイントを見てまわる。その後、予定
時間に少し遅れて賀谷に到着。私と向氏は込み潮に変わる15:00までのあいだ約2時間を
昨日同様、磯に乗り大物狙い。木戸氏はサーフに関係ないため、賀谷の磯でのエソ釣りは1
日やればもう充分ということで、内湾(賀谷の漁港内)を探ってみるという。ということで2手に分
かれて釣りをすることにした。磯伝いにポイントに到着。昨日よりもわずかに風向きが変わって
いるのか波は昨日より多少マシな気がする。しかし角度が悪いのか時々、波しぶきが身体に
降りかかる状態。今日も厳しい磯投げになりそうだ。おまけに一投目からくるはずのエソがこな
い。私の左手に入った向氏はまたも根ガカリに苦しんでいる。向氏に昨日木戸氏が釣っていた
水道側のポイントへの移動を勧める。それが功を奏したのか、その後は根ガカリもせず順調
に次々とエソをヒットさせている。こっちも負けていられない、徐々に調子が出てきた。型不足
ながらオキエソ・カワハギがヒットしてくる。そんな中、向氏がついに35.0cmのオキエソをゲッ
ト。次いでメジャーを当てたくなるようなカワハギ(23cm)を釣ってきた。調子づいているのが
ハタから見ていてもわかる。やっと対馬での釣りに自分のスタイルをあてはめ、自信を持ち始
めたようだ。もうほおっておいても大丈夫。彼にはこれからどんどん大物が釣れていくだろう。
そうなりゃこっちも負けてられない、人の心配するよりも自分のことを考えればいいんだから。
なーんて考えているうちに向氏がまたサオを曲げている。かなり型の良いエソの様だ。ところが
そのエソは先に針掛かりしていたヒメジに食いついていたもので、抜き上げ際にサヨ−ナラ。
残念がってる向氏を尻目に、今度はこっちの番とばかりに持ちザオに小気味いいアタリ。カワ
ハギが回ってきたようだ。頃合いを見計らって軽くアワせると乗った乗った。結構な引きと横走
りであがってきたのは目測でも大物とわかる26.7cmのカワハギ。やった!記念すべき大物
100号達成だ。その後もすり代え釣法(釣れてきた20cmのエソを丸せいご15号の1本バリ
仕掛けに付け直し、磯際にブッ込むとわずか数分で大物エソに飲み込まれ、針掛かりした魚
のサイズがアップするというまさしく対馬ならではの夢のような釣法)で35.4cmのオキエソを
追加、昨日のような超大型は回遊してこなかったが大物2匹を確保しタイムアップの時間となっ
た。向氏もあとが続かなかったものの大物エソをキープしたことで満足そうであった。なお、木
戸氏は内湾で1時間半ほど粘ってみたものの、釣れてきたアジに何者かが食いついてきたこと
が1度あっただけでパッとしない釣果だったそうである。
16:00 佐賀
夕マズメ前に佐賀に到着。向氏は例の突堤先端部へ、私と木戸氏も昨晩と同じところでサオを
出す予定。しかし、夕マズメまでにまだ時間があるのでサオを一本もって湾奥の角地で第一
投。船道が近いので良さそうなポイントと睨んだ通り早速のアタリで20cmオーバーのキス、2
3cmのハタと連発する。下見としては充分な手応え、また暗くなってから狙うとして前日の釣り
座に戻り2本のサオをセット。突然左手のサオに強烈なアタリ。巻き上げてみるとビックサイズ
(30cmクラス)のダイミョウサギに26cmの良型ハタのダブル。それを見ているうちに今度は
右手のサオのサオ尻が浮く大アタリ。30cm弱のオキエソと33.5cmのトカゲエソのダブルと
大忙し。それ以降は中型キスの入れ食いが続き、何度かサオ尻が浮く様な大アタリも…。しか
しその殆どがボロボロになったキスのみが上がってくる始末、きっとエソの仕業であろう。
暗くなってからもキス・エソ主体にチャリコ混じりで釣れ盛るが型が小さい。そんな時、突堤先
端から向氏が小走りにこっちにやってきた。何か大物でも釣れたのかと聞くと、「こんなもん釣
ってもた」と差し出してきたのはなんとアンコウ。30cm強の小型ではあるがちゃんと生きてい
る。おまけに腹から飲み込んだキスを吐き出してきた。そう、まるでエソのように向氏が釣った
キスを丸飲みして上がってきたのである。その後、アンコウのショックからか?今一つ調子が
出ない。昨日に比べて全ての魚の型が小さいのだ。木戸氏も同じ様なことを言っている。21:
00頃から角地にポイントを代えてみるもののパッとしない。明日はこのポイントを休ませる必
要があるなぁってことを考えながら23:00過ぎ納竿とした。なおこのポイントでは向氏が絶好
調。キスの大物を26.0・26.2・26.0cmと3連発、一カ所で大物を3匹釣り上げたのは初
めての事らしくさすが対馬とつぶやいている。向氏はこの佐賀というポイントがお気に入りとな
ったようだ。
10/26(第4日目)
この日は夕方以降に天候の悪化が予想されている。またエサも底をついてきて厳しい状態に
なりつつある。そんな中キスを中心に狙いたいということで、釣り場開拓の意を含め、今回まだ
訪れていない初めての釣り場へチャレンジする一日とすることにした。また木戸氏と向氏がこ
れまでの釣果を自宅に送るため宅配便を手続き。そんなこともあってスタートは昼前となった。
10:30 今里
初日に1時間半ほど夜釣りをしてキスのランクが出た場所である。それなら昼間でもキスが狙
って釣れるのではという考えから、改めて攻めてみることにした。小さい釣り場なので前回同
様、各自サオ1本とし1時間半余りサビきまくったが結果は悲惨なもの、内側を狙った私のサ
オにワニゴチが釣れてきたのが唯一の魚。サオを仕舞い、八斗蒔壇山下のポイントを見に行く
ことにした。
12:20 加志浦
八斗蒔壇山下のポイントは良さそうな感じであったが、如何せんそのポイント近辺が道路工事
中であり落ち着いてやれそうになかったためキスのポイントで有名な加志浦に移動。この場所
も干潮時に磯伝いに歩いて前に出て、左手前方にある小島との水道を狙うという条件付きの
ポイントである。ポイントに到着した時刻にはまだ潮位が高く前に出られない状態だったことか
ら護岸からの第一投とした。ところが手前に沈んでいるノリビヒが邪魔になって仕掛けの回収
が難しい。また根ガカリが激しいなど、干潮時、浜に降りての釣りが前提となるポイントだという
ことを実感。潮が引くまで待てばいいのだが、本日午後の干潮時には竹敷の地磯でやると決
めていたのでやむなく加志浦を後にした。
 13:30 竹敷地磯
竹敷港に到着後、ポイントでサオを出せるか確認しにいく。さすがに下げ5分をまわっているた
めポイントへの移動は充分可能となっていた。早速、サオ2本と三脚・エサ箱を手に磯伝いに
ポイントへ。引き潮でむき出しになった岩盤の上に釣り座をとる。ここは目の前のイケス廻りが
ねらい所、はやる気持ちを押さえて80m付近へ第一投。とてつもなく深い!、オモリ着水後イト
フケを押さえたのちも、着底するまでにどんどんとイトが出ていく。結局サミングしながらもスプ
ール45巻き分のイトが出ていった(オモリ着底まで25秒以上かかる!)。
たぶん私の過去の記憶をたどってもこんなに水深があるポイントは初めてだ。
 こんな深場にキスがいるのだろうか?と、一抹の不安を感じつつサビく。底は完全に砂地(泥
地)のようだ。かすかにアタリのような変化を感じるが水深があるためよくわからない。とりあえ
ず巻き上げるが手前のカケアガリがキツいようでかなりの抵抗を感じる。返ってくるラインをみ
ると根ズレのためボロボロになっている。足元まで水に浸かりながら磯の先端部まで出ていき
強引に巻き上げると20cm弱のカワハギがダブルでついていた。エサを付け替え第二投、今
度は左手のイケス際を狙う。こちらも着水と同時にどんどんイトが出ていく。こちらも着底まで2
0秒以上かかる、どうもこのポイント一帯は足元からドン深になっているようだ。着底と同時に2
日前、黒瀬で経験したのと同様、手持ちのサオ先を一気に持っていくアタリ。この水深でこんな
にシャープで大きいアタリはまさしく大ギス、しかし残念ながら魚が乗ったか乗らないかもわか
らないうちにカケアガリに食われたのか根ガカリ。その後もカケアガリに悪戦苦闘。いくらミチイ
ト5号、チカライト8号のローコストタックルだといってもかなりの確率でチカライトからやられる。
魚もカワハギ・チャリコと釣れてはくるのだがこれでは釣りにならない。度重なる根ガカリに嫌
気がさし、磯内側の入り江の様子を見てみることにした。サオ一本を担ぎ岩盤伝いに移動、対
岸まで80mくらいの水道に仕掛けを投げ込む。水深は殆どなく5m前後、しかしサビき始めか
ら活発なアタリ。キスを中心にキューセン・トラギスと釣れてくる。わずか15分足らずでキス8
匹・キューセン3匹・チャリコ・イソベラ・トラギスと入れ食い状態が続くが、いずれも型が20cm
前後と物足りない。こんな釣りなら敦賀でも出来ると元の釣り座に戻った。
 結局、このポイントでは一番岸側に陣取った木戸氏がキスの良型と大型カサゴ等をキープし
たくらいで、向氏は私と同様の釣果に終わった。ここ竹敷地磯は、きつい根ガカリとリリースサ
イズの魚ばかりで、初めての釣り場はアタれば大きいがその分リスクもつきもの、という典型的
なパターンのマイナス側にはまり込んでしまっただけであった。 
ただ、干潮の際には直ぐ足元の手が届くところにウニが無数に生息(ひとところに20〜30の
ウニが固まっており、それがいたる所に点在している!、その数何百!!)しているのを発見
したり、これまた足元のわずか水深30〜40cmの超浅場に真っ昼間から回遊して来たエイに
餌付けをしたりと対馬の自然を楽しむ事が出来た。
 
竹敷をあとにして、明日のエサを調達しに鶏知まで戻り、いつもの萩原釣り具店(前回はいつ
もここでエサを調達)に立ち寄る。しかしムシエサは切らしていて無いんですわ、と言うつれない
返事。町中でもう一件釣り具屋の看板を出している店にも立ち寄るが何か様子が変、なんと靴
屋に変貌していたが看板はそのままである(このへんも対馬らしいおおらかさだ)。その後、車
のガソリンを補充するため向かったスタンドでエサ屋さんの情報収集、厳原まで行くと2件ほど
あるらしい。早速厳原に向かって走り出した。
厳原の町中をさまよい、ようやくフィッシング対馬という店を発見。しかしここにもムシエサはな
いという。少し走って「〜大会・クラブ指定店」という看板を出している店に聞いてみるがそこで
衝撃の発言が…。なんと、ムシエサは10月あたまに仕入れたのが最後で、次回島内への仕
入れは年明けになる、との事。そして、それを切らしてしまった現在、島内の釣具店には恐らく
無いであろうとの事であった。なんと対馬で、それもあと1日半も残して、痛恨のタマ切れである
…。その後、遊漁船を出しているところならアオムシがあるかも、と民宿を尋ねたりもしたが無
駄足であった。
18:00 鴨居瀬漁港(かもいせ)
タマ切れという傷心を引きずったままではあるが、民宿の玄関に貼ってあったキスの魚拓にそ
そられ、犬吠を見てまわる。大きな波止と静まり返った漁村の雰囲気が良さそうに見えるが、
本日夜には天気が崩れるとの予報であったため下見しておいた鴨居瀬漁港へと車を走らせ
た。ここ鴨居瀬漁港は車横付け、水銀灯のおかげでヘッドランプも不要な横着釣り場である。
天候が崩れても怖くはない。早速、夜釣りのスタンバイにはいるが、明日のエサのこと・天候の
悪化等を考えるとどうもテンションが上がってこない。ここはマダイ・キスの好ポイントなのだが
…。護岸の左角に木戸氏・中央に私、右手に向氏と、この釣行で初めて3人が一所からサオを
出す。各自2本のサオをだす。まず、私のサオにアタリ。23cm程度のチャリコが釣れてくる。
続いて木戸氏のサオに25cmくらいのチャリコと幸先は良かったがその後が続かない。暗くな
ってしばらくすると急に風が強くなってきた。そして予報通り、この旅初めての雨、おまけに稲光
まで…。結局、少しでも明日にエサを残すことも考えて(実は、それよりも向氏の久しぶりに暖
かいご飯が食べたい!の発言力が大きかったのだが)、テンションの上がらないまま20:00
過ぎ納竿することにした。(その後、珍しくレストランが開いている時間に町まで戻った我々は、
そこ(ライラックというパブandレストラン)である事件に遭遇、沈んでいたテンションを一気に引き上げ
る事に成功した。)
10/27(第5日目)
実質、対馬での最終日である。なんとか対馬らしくキスの大物で締めくくりたい。エサ箱には死
にかけのアオムシがわずかばかり。でも悲観していても時間は過ぎていく、こういうときこそ積
極的にアプローチだっ、ということで行きつけのスーパーでキビナゴを購入。途中の釣具屋でミ
ノーとメタルジグを購入。もう何でもアリだ!!。
そんな訳で最終日の今日は前半が昨日に引き続きキス場の開拓。後半は対馬釣行を締めくく
るべく、今回最も釣果の上がっている佐賀でじっくりと対馬の釣りを満喫だ。
11:00 賀佐(かさ)
昨夜来の雨も上がり、最終日にしてようやく風もない絶好のキス日和。本日は国道382号を仁
田方面まで北上する予定である。その取っかかりとして三根湾の手前に位置する賀佐に立ち
寄った。国道からうねうねと苔の生えた細い道を山越えして賀佐に到着。わずか4・5軒の静か
な漁村である。ポイントは整備された護岸からの投げとなる。護岸は車横付けOKで水銀灯付
き、湾口以外全て山に囲まれた天然の漁港でいかにも大物が潜んでいそうな最高のロケーシ
ョンだ。ここは夜釣りで沖のイケス際で大物マダイ(70cmクラス)、湾内で大型キスが狙える好
ポイントだそうである。私は内湾のポイントを引き釣り、あとの2人はイケス方面に向かって各
自1本のサオ出しとした。内湾ではサビいている最中、ところどころ詰まる箇所があり、当然の
ごとくキューセン・イソベラが釣れてくる。数度繰り返しても同じことなので右手でサオを出す2
人のところへ戻る。向氏によるとこちら側はかなり水深があるようで、トカゲエソのオンパレード
だそうだ。私も一番右手から投げてみる。確かに昨日の竹敷まででは無いにしても深い。オモ
リ着水後、30巻き以上スプールからイトが出ていく。早速私のサオにもアタリ。トラギス・トカゲ
エソが釣れてくる。エサと時間の関係から1時間あまりでこのポイントを切り上げることにした
が、そのロケーションからエサのたっぷりある時に複数のサオを出し、夜釣りでじっくり狙うだけ
の価値のあるポイントだと実感。次回釣行の際には、是非とも夜釣りの計画に組み込もうと誓
った。
 12:30 越高
車で仁田を通過した際、初釣行の向氏に○島氏が過去に35cmオーバーのキスを釣った事で
有名な仁田・一本松のポイントを教える。ここ仁田では一本松以外に導流堤先端も好ポイント
だが足場が狭く、出来ても一人のポイントであるため仁田でのサオ出しをあきらめ越高に向か
った。残っているエサはほんの僅かで、もう死にかけて動かない。エサの関係上、ここがキス
釣りのラストポイントとなる。
 例のごとく各自がサオを一本だけ持ち中央の突堤へ。浜に並行にあるシモリ際が狙い目。先
端部に木戸氏、中央部に向氏、その更に手前に私とサオを出す。早速サビいている途中でア
タリが出るが、イソベラ。向氏はオキエソ。いまいち潮が動いてない様だ。そのうち向氏が25c
mのキスをゲット。昨日から20cmクラスしか見ていないだけに一際大きく感じる。ヤル気を起
こさせてくれた一匹だがアタリがない。そんな時、今日は朝から何も食べていないことに気がつ
き一旦休憩。車に戻って、遅い朝・昼兼用の食事をとる。そのうち先端部でサオを出していた
木戸氏も車に戻って来て、アタリがないので沖向きの波止まで行って来ると言い残し去ってい
った。さて、腹ごしらえも終わったところで再挑戦、とばかりに釣り場にむかおうとした時に、向
氏も昼食のためサオをたたんで車に戻ってきた。それではと入れ替わりに中央の突堤先端部
に場所を移し、釣りを再開。数投してアタリもないまま時が過ぎる。何投目だっただろうか、不
意に黒瀬・竹敷地磯で味わった手持ちザオのサオ先を一気に持っていくアタリが出る。例のご
とくハリには乗らなかったが大ギスはいたのだ。すかさず、仕掛けの号数を流線13号からキス
針9号にかえる。投入してサビくと結構、強烈なアタリがでる。キスにしては引きがおかしい。足
元まで寄せると良型のカワハギだ。ハリの掛かりどころが怪しいため、昼食を終えて釣り場に
戻ってきた向氏にタモを頼む。ランクには1.5cm足りなかったが24.5cmのいいサイズだっ
た。魚の動きは活発になってきているようだ。しかしもう使えるエサがない。手持ち最後のアオ
ムシを付けキャスト、サビき始める。
20mほど戻したところで一気にサオ先が引き込まれる、キスのアタリだ。今回は仕掛けも代え
ていることもありハリ掛かりしている。バラさないように慎重に巻き上げると26.7cmの肥えた
キスだ。これで最後の一投と考えていたが、沖向きの波止から帰ってきた木戸氏(沖向きの波
止はオキエソラッシュだったそうである)にエサを分けてもらい続投。続いて同じポイントへ投
入。サビいていると再びアタリ、これも乗っている。軽い締め込みと小気味良い引きであがって
きたのは、先ほどよりサイズアップして一層まるまると肥えている27.3cm。時刻を見ると14:
00を過ぎたところである。こんないい天気に、それも真っ昼間から、沖のシモリの状態が判る
ほど水深のないところでサビいているサオに大物が連続で釣れるとは。型はともかくこんな事
は敦賀ではまずお目にかかれない。本当に対馬にキスを釣りに来ているんだ、と実感する。
その後、なにやら小型ながら、強い引きで上がってきたのは20cmちょっとの高級魚カイワリ。
異境の地で釣りをしていることに喜びを感じる。でももう14:30である。最後の夕マズメは佐賀
でと決めているので移動だ。向氏は中型のキスを釣ったあとアタリが無かったようだが、越高
最後の一投でキスの大物らしき魚をバラして悔しがっていた。
15:30 佐賀
越高でキスを釣ったことで気持ちはすっきり。もうムシエサはなくとも、キビナゴ・ルアー・小魚、
エサになるものなら何でも使って佐賀でエソ釣りだ。佐賀では夜でもエソが活発に食ってくる
が、夕マズメにその活性は最大となる。今日は向氏も突堤先端部に入らず、我々2人と護岸で
並んで釣りをする。早速、左手でサオを出している木戸氏よりキスが小型・中型ながら入れ食
いとの報告が入る。なるほど私も残った数匹のムシエサで投げると20cmのキス・23cmのハ
タとつれてくる。オキエソ・トカゲエソも活発だ。そんな中、向氏がトカゲエソの大物36.0cmを
ゲット。私もエソ狙いにタックルを代え、キビナゴで投入を2本、越高でエサ用にキープした小魚
(20cm程度のオキエソ・ヒメジなど)での投入(対馬名物:すり代え釣法!)を1本、と計3本の
サオをセットした。小魚エサのサオは百発百中と言っていいほど大型エソの餌食となった。しか
し、たいがい魚をくわえた状態で上がってくるため、抜き上げ時のバラシやタモ準備中にバラす
など殆ど取り込めない。それではとルアーを引いてはみるもののヒットしてこない。でもこれで
良いんだ、これもひとつの大物釣り。飲ませ釣りなんて、我々の地元では確率の低い釣りだが
ここでは次から次ぎへとアタックしてくれる。これを確実に手中にするのは次回までの宿題だ
(孫針に小型のトリプルフックなんかつけて見るのも効果的と思う)。
キビナゴエサのサオだがこれも予想以上の結果だった。一投目にハタ・トカゲエソ。そして2投
目にも即アタリ、また寸足らずのエソかなー、などと思い寄せた魚体を見ると何とでっかいキス
である。抜き上げると29.0cm。なるほど、この口の大きさなら10cmばかりあるキビナゴも
一飲み可能な訳だ(この後もキビナゴでキスが釣れたが、そいつはエソに持って行かれた)。
そのキスを向・木戸両氏に見せた直後だった。木戸氏の「やったー、おっきいキス!」という声
に振り向くとこれもでかい、見に行くと私のキスよりさらに太くてでかい。向氏のスケールで確認
したところ実寸で29.5cmあったそうだ。木戸氏は本日、というか今回の最長寸となったキス
を手中にして満足そう。そういう私も本日のキスの大物3匹をクーラーから取り出し、眺めなが
ら一人ニヤニヤしている。そう、我々は試行錯誤を繰り返しながらも、確実に夢の30cmに近
づいているのだ。
その後、向氏が小エソをエサに「すり代え釣法」で40.6cmのオキエソBランクをゲット、彼は
それ以外にも中型ながらコトヒキやイラなど北陸ではまずお目にかかれない魚を釣ってい楽し
んでいる。いつしか彼も自分のスタイルで対馬を楽しんでいる。この釣り場ではこの釣り方で大
物が掛かってくるんだっ、て感じでもう当たり前のように…。5日間の滞在ですっかりベテラン
顔、これで対馬中毒患者が一人増えたってワケだ。
木戸氏も最後までエサの扱いに気をつかっていただけあって、ムシエサだけで佐賀を、対馬の
5日間を釣り切った。今日のこの最後の場所でも、納竿までの4時間余りを終始オカズ狙いに
徹し、29.5cmを筆頭に中・小型ながら実に20〜30匹のキスを釣っている。彼も更に対馬が
好きになったに違いない。自らはサーフでないながらも私達の大物狙いにつき合ってくれ、私
個人の考える行程(天候の影響で変更に次ぐ変更となった)に常に理解を示してくれた事に感
謝したい。
私はと言えば21:00に予定した納竿までにキビナゴでオキエソのBランク、40.5cmを追加。
その後も大アタリの後、一気にイトフケのでるアタリでオオスジイシモチ(オオスジイシモチもキ
ビナゴ食うんだ!)の頭だけだったり、最後の一投までオキエソ・トカゲエソが遊んでくれたりと
対馬でのラストナイトを充分に満喫した。
ホテルに戻るとなんと○島氏からTELがはいっていた。折り返し連絡して欲しいとのメッセージ
だったのでTELすると、いきなり「どうだった?」の心配そうな声。どうやら一宮サーフのミーティ
ングで竹○氏か横○氏から聞いたらしい。○島氏によると、今年の対馬は全体的に不調で、
○島氏自身もイトヨリ・マダイの釣り場を新たに開拓したため大物の数は出せているものの、
キスに関しては1日走りまわっても2〜3匹でるのがやっとだそうだ(それもAランクばかりでBラ
ンク以上があまりいないらしい)。そんな状況だったため最悪の場合は全滅もアリかも、と心配
してくれていたそうである。そんな中で私がキス6匹を含め大物11匹、向氏がキス4匹を含め
大物7匹であったことを伝えると、「それはいい時にいいポイントに入れたほうだわ。今年でそ
れだけ釣れれば立派、立派」と、おホメの言葉をいただいた。そして島内で昨日からタマ切れ
に見舞われたこと、明日には帰ることなどを話したところ、「残念だなー」と言って見世浦・内院
でマダイが出ること(30〜40cmクラスを一晩で10匹ぐらいの可能性があるらしい)。三根湾
(吉田浦)の導流堤で63cmのマダイや33.5cmのキスが出たこと(両方とも○島氏の同行者
が釣ったもの。但し、33.5cmのキスが釣れた時はこれ一匹であとはオカズも何にも釣れな
かったらしい、それほど今年はキスが居ないそうだ)。志多留のマゴチ・エソ・キス・カワハギ、
仁田導流堤や唐州浦、狩尾のイトヨリ情報など惜しげもなく話してくれた。そして対馬のキスポ
イントの見切り方や、回遊しているキスのサイズの判断法など現地で釣りを経験した者同士な
らではの会話に突入、盛り上がって対馬〜名古屋間の遠距離かつ、深夜にも関わらず40分
余りもの長電話になってしまった。そして最後に○島氏の口から「必ず、今度行くときは事前に
連絡して。何とかしてスケジュールを合わせて一緒に行くから」との言葉。方向、距離など実
際、現地でアドバイス出来るのが一番いいからって言ってくれた。全国的に大物師として名の
通っている○島氏であるが、我々、素人に毛のはえた様な者にまで優しい偉大な人である。し
かしながら、前回偶然に釣行を共にしたときもそう感じたが、気軽に話せるナイスな兄貴って感
じでますますファンになってしまった。
10/28(最終日)
対馬で過ごす最後の朝である。でも感傷に浸っているヒマはない、散らかした一週間分の荷づ
くりをしてホテルをチェックアウトである。そして何とかまとめた荷物をホテルの近くにあるクロ
ネコまで預けに行く。竿ケースを含めて三ッ口で¥4,240−、中一日で敦賀着。便利なもの
だ。その後、次回釣行の参考として、一度も足を運ばなかったホテル前のスーパーに入り食料
品の種類をチェック。次回はもっと自炊でのディナーをグレードアップさせようなんて話で盛り上
がる。レンタカー返却までの残りの時間、今回強風のためサオ出し出来なかった大船越漁港、
美津島町ケーソンヤード(万関瀬戸)を見てまわる。どちらのポイントとも潮の流れが複雑で速
い、いかにも大型マダイが回遊してきそうな好ポイントだ。次回はこれらのポイントでも頑張っ
て、大物をとるぞって気になってくる。そんな防波堤の足元では無数のイワシが我々の影にも
怯えることなく、悠々と泳ぎまわっている。その下にはオヤビッチャやコバルトスズメなどの熱
帯魚・グレの姿がみえる。最後まで対馬は自然のフトコロの大きさを我々に示してくれている。
結局この一週間の間、他の投げ釣りマンに出会うことはなかった。地元の人がアジ釣りやクロ
(グレ)釣りをしているだけである。また、我々が訪れることの出来たポイントも僅かである。そ
ういったことを考えてみても、釣り荒れた対馬とは言われるが、まだまだフトコロは大きいので
ある。十二分に可能性も秘めている。割高な経費と時間をかけて訪れるだけの価値のある島
だ、と再認識した。5日間の釣りを終えた今、対馬は我々に一行にとって、再び憧憬の地にな
ってしまった。しかし4年後、必ず再訪し今度こそ対馬の自然に受け入れてもらえる(対馬での
大ギス・大マダイetcに巡り会える)ようになりたい。その日を目指して、よーし、明日から仕事
に、釣りに頑張るぞっ、と新たなファイトを胸に14:50、福岡行きの飛行機に飛び乗った。心
地よい疲れを残して…。
 
                                                        
                                                   以上
















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