2003年 データ詳細 No.30

日時: '03.10.09 
場所: 波松
昨年10月、遠征先で偶然会った一宮サーフのO大先生から、半分冗
談交じりで「こんなとこまで来んでも、波松の落ちギスが…」っていう話を
聞いて以来、今年は10月になったら絶対一度はキスの様子をチェック
しに行こうと決めていた。

以前より、波松の落ちギスの話はウワサに聞いていた。しかし、爆発的
に釣れるのはホンの1〜2週間とのことで聞き流す程度だった。第一、
波松まで足を延ばさなくても、落ちギスなら10月以降は小浜方面で確
実に釣れることが判っていたから…。
 しかし、今年は小浜方面へ落ちギス狙いへの釣行をする気が起きな
い。理由は本HP内の「休憩室」−「ちょっと思うこと」の件がキッカケ
…。確かにそのポイント以外にもその周辺に行けば、落ちギスは(1度
の釣行でランク3〜4本を含め、20〜40匹程度は)確実に釣れると思
うのだが、そっち方面に向うと、どうしても、その釣り場を未練がましく思
い出してしまうのでいっそ行かないほうが気が楽だと考えてしまって…。

そんな話はおいといて、あまり興味のなかった波松の落ちギス。Oさん
に聞いた話がとんでもない釣れ具合だったということもあるが、そういえ
ば現在は我々の仲間(敦賀サーフ)である福井市在住のI氏からも2年
ほど前だったか、9月末日に波松で午後まだ日の高いうちにサビいてい
たら29cmや28cmだかが、ポロポロとハリガカリしてビックリ!、しか
し1週間後はサッパリだった、みたいな話を聞いたことを思い出した。ま
た今年4月にカレイ狙いで波松に釣行した際、作業のゴミを浜まで燃や
しに来た地元のおじさんが、昨年10月、おっきなキスがボロボロ釣れと
ったでー!(そのおじさん、波松は30〜50cmのイシガレイが釣れるこ
とや、ルアーで青物が狙えることを詳しく知っており、適当に言っている
話には思えなかった)って話してくれた事で、今年はどうしても確認した
かったのである。

そんな思いの中、木曜日の午後に半日年休を取得出来る見通しがつい
たので、この件に興味を持ってくれたinkyoさん(彼も何とか都合をつけ
ることが出来たので)と波松のチェックを実施することとなった。

釣り場到着は14:30、風が多少舞っており海面はややザワついている
が、波松にしてはウネリや波もなく上々のコンディション。まずは場所選
びである。以前、40オーバーのカレイが釣れたポイントには2年前から
テトラ堤が延び、すでにポイントではなくなっている。それを少し北上し
た通称”ハゲ木”(私が勝手に呼んでるだけです)、ここも30cm中盤の
カレイが数出るポイントだが、なんとここにもテトラ堤が…。春に来た時
にはここまでテトラは入れられてなかったのに…。どんどんポイントがな
くなって来ているようで少しばかり残念な気持ちに。

こうなりゃ奥まで、と思い車を進めるが、本日は平日で最奥部では例の
工事が作業中。作業車両の通行のジャマになってはいけないと、結局、
作業車両の出入り口となっている往年のカレイポイント、小屋前で車を
止め浜に降り立った。

ここでinkyoさんと別れる。inkyoさんは浜の右手へ、私は左手に。暗く
なるまでは竿1本でサビきまくりの落ちギス狙い。暗くなってからは竿3
〜4本の置きザオで良型を狙う算段である。

まずは100mほど歩く。そこで第一投。良型キスの鈴なりを夢見て4本
バリ仕掛け。4色に投入してサビいてくるもののまるでアタリがない。そ
れどころかエサも取られない。波打ち際までサビいているのにフグすら
居ない。やはり水温低下の影響だろう。先週の釣行記録にも記したが
敦賀近辺も急激な水温低下でエサ取りが激減していた。ここ波松でも
同様のようである。

こりゃ、キツい釣りになりそうだ。しかし、折角の大切な機会、しんどいと
は言ってられない。一つの投点で右・正面・左と3投してサビき、アタリ
なしで左へ移動、を繰り返す。竿は1本だが、夜釣り用のタックルや道
具一式も持っての移動でかなりヘバる。雲ひとつない好天で、大汗をか
き、脱水気味で気分が悪くなってくる。気が付けばもう16:00前、1時
間余りエサも取られずシャニムに投入・サビき・左に移動を繰り返して
いる。inkyoさんの姿はもうすでに肉眼では確認出来ない。
 その後、更に少し移動してようやく2色付近でキスのアタリ!、いきな
りダブルで釣れて来る。しかし15・6cmのピンギス。これでは話になら
ない。この後、40分弱で16匹のキスを拾った。キスの溜まり場を見つ
けたようであるが、サイズはMax19cm…。こんなん全然落ちとは違
う。

時刻は17:00を廻り、陽が大きく傾いてくる。それと共にピンギスのア
タリも遠のき、またエサも取られない状態が続く。海の状態が確認出来
る内に夜釣りの釣り座を決めないとなー。また、移動を始める。そのう
ち、これまでの潮目(かなり遠い位置)よりも、近いところに潮目が走っ
ているところにたどり着く。

ここだ!ここで夜釣りだ、と決定。一本投げてみるとフグが居る。いきな
りダブルだ。魚っ気のないところよりはマシ、ということで仕掛け・エサを
替え、竿数を増やし夜釣りモードに突入することに。

 そんな18:00過ぎ、inkyoさんが「えらいーっ!遠いーっ!」と叫びな
がらやって来た。それもそのはず、車からは1キロ近く(実際は700〜
800m?)移動してしまっている。一番最新に築かれたテトラ堤が、もう
すぐそばに見えるとこまで…。帰りがゾッとする距離となっている。
 そんなシンドイ思いまでして、どうしたのか?と思うと「ヘッドランプの
電球、スペア持ってます?」とのことだった。スイッチを入れた際にタマ
切れを起こしてしまったらしい。気の毒な…。それでこの距離を歩いてこ
なくてはならなかった訳だ。聞くとinkyoさんも私と同寸のキスが7〜8
匹だけとのこと。エサ取りも居ないらしい。落ちギスランクバコバコって
いう思惑は思いっきり外れた…。まあ、こんな気持ちのいい天候の中、
平日に人の全くいない波松を独占して(魚も全くいないというツッコミは
ナシで!)夜釣りが出来るっていうことをじっくり楽しみましょう、とお互
いに気持ちを切り替える。

 ということで、改めて2回戦の開始!!

エサはマムシで充分だ。当初、夜釣りではエサ取りの多さを考えてユム
シにしようかと考えたが、この程度ならマムシで充分。元々夜釣りでは
ユムシオンリーでスズキ・クロダイの一発狙いという気持ちもあったが、
これだけ穏やかな海だとその可能性も低く、キスの一発狙いも兼ねると
なると太めのマムシという選択に落ち着く。

inkyoさんが戻っていってから、1時間が経過。釣れて来るのはフグの
み。アタリが出ないままの針ガカリでちょっとウンザリ。少し戻ればエサ
トリの居ないエリアが延々と続いているのは判ってはいるが…。だが、
ガマンガマン。今日はエサの消費・仕掛けのメンテのめんどくささより、
魚っ気を取るべき。

19:30、inkyoさんに携帯で様子を伺うと、25cmのキスが釣れたと
のこと。しかし、相変わらずエサも付いたまま戻ってくる確率が高いとい
う。この話を聞いて、ここいら一帯の全般的な傾向(エサ取りも居ないと
いう)とは、ちょっと違う風向きの今のこの釣り座を大切にして狙うべき
だ、と意を強くする。inkyoさんの話は続きがあり、キスが釣れた直後、
ドラグがジャーッと、けたたましく鳴ったそうな。期待して巻き上げると、
ガザミだったとの事。本人は期待させやがってー、ガックリやー、との事
だったが、ドラグを激しく鳴らしたってことは、ガザミもビックリして、あの
独特のぎこちない泳ぎ方で、それこそ一生懸命泳いで逃げてたんでしょ
うね。なんとなくカニの慌て方がほほえましく想像出来て…。他愛のない
話ではあるが、荒みかけた気持ちに少しだけ余裕が生まれた気がし
た。釣るぞ、釣ってやるぞ、という気持ちが強いとロクな結果にならない
事が多い。気持ちに余裕持たないと!

その心掛けが功を奏したか、携帯を切った後、ふと振り返ると置き竿に
していたサオ先のケミホタルの位置が大きくズレている!。ドラグからイ
トが出て行った様子は余りなさそうだが…。早速、巻き上げにかかると
かなりの重量感である。時折締め込みも見せ、魚が掛かっていることは
間違いない。しかし、時々かなり軽くなる。このテの引きはもしや!?。
でも、セイゴかも。セイゴとするとこの重量感ならランクはありそうな感
じ。
 ハリス5号のため、強引に巻き取る。チカライト付近まで巻いて来たが
エラ洗いどころか浮いてもこない。やはり…。お出ましになったのは案
の定、メーターオーバーのホタテウミヘビ…。

その後、20分余りサオ先に出るアタリは皆無。時刻は20時になろうか
としている。フグがちょっとアタらなくなって来たようだ。少しばかり海の
雰囲気が変わってきた気がして、期待を込めてキャストを繰り返す。す
ると投入したばかりのサオ先に、本日初めてといっていいほどのハッキ
リとしたアタリ!。

最初はサオ先をコツンと押さえ込むアタリ。その後、サオが大きく傾きド
ラグが一鳴き。三度目の一気に持っていくようなアタリで巻き上げにか
かる。しっかりとした重量感に加え、明確でシャープな引きが手元に伝
わる。これは明らかに長物ではない。ゴクゴクと頭を振っている感覚が
リアルに伝わってくる。バッチリ針がかりしているようだ!。波気が余り
ないので、バレる心配は少ない。久々に引きを楽しみながら余裕のリー
リング。フグっ気しかなかったところにイキナリの予想もしない大アタリ
〜♪。波松という場所を考えると、多分スズキかクロダイだろう。重量感
と引きから考えても確実にランク以上はありそうだ!!。

2色を切ってから少し抵抗をくらう。しかしEX−T(この日はBX−Tも併
用していたが)の柔軟なサオのタメでスムーズにあしらう。トルクフルな
パワーサーフQDとのマッチングで魚の引きを充分堪能し、しかも余裕
あるやり取り。楽しくなってくる。浮いてこないところを見るとスズキでは
なさそうだ。クロダイか?しかし、クロダイよりは馬力というか鋭さを感じ
るこの引き…。ともかく、後は波打ち際でのバラシだけ気をつけなけれ
ば。波気がないとはいえ、そこは波松。波が引ききった時には一番手前
のカケアガリ(小砂利の帯)が顔を見せ、寄せる時には足元まで波が来
る。特に波が砕けるときの取り込みはバラシの元で厳禁そのもの。
 波のタイミングをはかって慎重に砂浜にずり上げる。無事に引き上げ
るが浜が急勾配となっているので、ハッキリと魚が何であるか確認出来
ない。
 近寄ってビックリ、なんとマダイであった!
波松でマダイ???思わず我が目を疑うが、やっぱりマダイである。

思い起こせば、アタリのときの3段引き、巻き上げ最中の重量感の割り
にはシャープで馬力のある引きは、まさしく”典型的なマダイ”であるの
だが、まさかまさか…。波松でマダイのランクが釣れるとは考えてもみ
なかった。
 改めて獲物を見てみると、型はともかく、外洋に面した潮通しの良い
大きな砂浜での回遊魚だけあって素晴らしく美しい。敦賀近辺の内湾で
釣れるマダイとは色彩が異なる。薄めの清楚なピンク、そこに散りばめ
られたブルーの輝き。鰭がキレイに真っ直ぐ伸びて…。よく見ると、ボデ
ィの下半分(通常は銀白色の部分)が青みがかっている。ホントに美し
い固体だ。薄めの上品な色調に思わず見とれてしまう。

もう、この一匹で満足。落ちギス狙いに来たことも忘れてしまっていた。
検寸すると45cmを少し超えている。ずば抜けてデカイというサイズで
はないが、実寸45.7cm(拓寸47.0cm)・1.4kgの美しいBランク
であった。

その後は納竿間際にサオ先を鈍く抑えるアタリでウミヘビの80cmクラ
スが釣れただけ。しかし満月の夜、たった一匹とはいえ予想外の獲物
が得られた事で満足の行く釣行として幕を閉じることが出来た。
 納竿は翌日の仕事も考えて初めから22:00の予定。inkyoさんはエ
サ取りの居ない中で30分ばかり延長して奮闘するも、残念ながら釣果
には恵まれず…。

 23:00過ぎ、平日夜の人気ない波松を後にした。



本日は時間があったので、ちょっと長々と書いてしまいました。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。
(読み疲れしたんじゃ…)

狙いの魚が釣れることは勿論ウレシイですが、全く考えてないところで
思いもしない釣果っていうのはまた違う嬉しさがありますね!これだか
ら投げ釣りはやめられませんねー!!


釣れた直後です。ホントに薄い色の上品な美しい
魚体でした。まるで幼魚のような美しさ…。
口元から尾の付け根まで、(鰭を含めて)ボディ
下部が全体的に青みがかっているのがわかるで
しょうか。

死んでしまったらこの様に、”フツーのマダイ”に
なっちゃいましたけどね!

[釣りデータ]
日時:'03.10.09 14:45〜22:00
場所:波松
釣果:マダイ1匹(47.0cm※拓寸
    キス16匹(ピンギスばかり…(14〜19cm))
エサ:マムシ
    イシゴカイ


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