とうふの話あれこれ その3
江戸時代に豆腐料理の本を書いた人がいた
グルメブームは、なにも現代に限ったことではありません。
文化の爛熟期である江戸時代の人々の中には、現代人以上に徹底したグルメがいました。
天明2年(1782年)に「豆腐百珍」、翌年には「豆腐百珍 続編」が出版されています。
その作者は、醒狂道人 可必醇(すいきょうどうじん かひつじゅん)本名は、曽谷学川(そや がくせん)という、篆刻家(てんこくか)で「性温順謙遜にして、よく人と相和す。
頗る酒を楽しみ、酔わば即ち新声を発す。
豆腐を好みて巧みに煮分くるを楽しみとす。
其の雅び趣きいか程ならん。」 といった人柄だったようです。
この本は日本で初めての料理書にしてベストセラーでした。
この本を読むと、当時すでに多種多様の豆腐料理が作られていたこと、また豆腐が人々の貴重な栄養源であったことが判ります。
この書は読み物としても立派に通用する高度な内容を持ったもので、江戸時代の他の書に見られない際だったものと言えるでしょう。
この本の「百珍」という言葉から、百種類の豆腐小料理かというと、そうではなく千変万化で「千珍」でも「万珍」でもよいのではないかと、私は思っています。
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