とうふの話あれこれ その5
とうふを「豆が腐る」と書くのはなぜ?
「豆腐」あらためて考えてみると、この名前、奇妙ですね。
これを文字どおりにとれば「豆が腐る」ですが、豆腐は豆を腐らせるどころか、乾燥した大豆ときれいな水で作る、清浄このうえない食品です。
一日置くだけで味が落ちてしまうと嫌う人がいるほどで、何より鮮度が大切にされます。
昔の人も、この「腐」という字に疑問を持ったようで、この名称にはいくつかの解釈があります。
ご存知のように、納豆も豆腐と同じ大豆が原料で、こちらの方は豆を腐らせて(発酵)作ります。
そこで、豆腐と納豆の作り方が中国から伝わった時、名前が入れ替わってしまったのではないかという説があります。
そういえば、豆腐は豆をすりつぶして絞り、箱に納めて固めるのだから「納豆」でもおかしくはありません。
しかし、中国でも豆腐はやはり「豆腐」と書きます。
入れ替わり説は、おもしろい話ですがどうやら眉つばのようです。
もうひとつは、中国では昔、本当に豆を腐らせて豆腐を作っていたという説があります。
残念ながら、こちらも間違いで、豆腐を発酵させた二次加工品の臭豆腐を、豆腐のルーツと誤解したらしいのです。
じつは、「腐」という漢字のもとの形は「府」の部分が「庫」になっていて、庫(くら)の中に肉が入っているところをあらわしたものだそうです。
殺した獣の肉は、死後硬直で固くて食べられないので、庫に入れて置き柔らかくなるのを待って食べたそうです。
それが肉だけでなく、ブヨブヨとして柔らかいのもを広く意味するようになったようです。
というわわけで、「腐る」という字に、こだわることはないようです。
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