とある年の敦賀港、8月の暑い日のことでした。7月頃から型のいいキス
が半夜釣りで釣れ始めたので、その日もそいつを狙いに。
良型キスが本格的に狙えるのは暗くなってからなのでいつもなら、午後
7時過ぎから釣り始めるのだが、なぜかその日はまだ夕暮れまで3時間
以上もあるまだまだ暑い午後4時頃からサオ出し。
エサ取りで釣りにならんだろうな、なんて考えながらアオムシをつけて第
一投。その一投目のサオを三脚に立てかけ、2本目を出すか出さないかを
考えていたその時、いきなりサオが右の方に流れてサオ尻が大きく浮き、
間髪を入れずにストンと元に戻った。あまりに一瞬の出来事であっけにとら
れていたが、我に帰って巻き上げ始める。しかし手ごたえはない。回収した
仕掛けの状態を見ると、5号ハリスがブチ切れ…。
夜釣りならばサオ尻が浮くような大アタリなんてままあること。ハリス切れ
という事態も、得体の知れない大物?とのやり取りの末ブチ切れるというケ
ースもタマにはある。でも、まだ昼間といってもいい時間帯、波も極めて穏
やかな夏の日、それも潮の動かない湾奥の敦賀港での出来事。
うーん、何だったんでしょう?
今から10年程前の7月の深夜、キジハタのランク物狙いで音海に釣行。
この日は好調で、到着直後の第一投目から狙い通りのキジハタ35cmク
ラスをGET。一人でニヤニヤしながら気を良くしてキャストを続ける。そして
何度目かのキャストをした瞬間、三脚に立てかけてあった右端のサオ先が
5cm程、オジギをした。しかし今、キャストして仕掛けが着水したばかりな
ので充分にミチイトを送り込まねばならない(音海は福井県の投げ釣りエリ
アの中でも最も水深のあるポイントで、水深は20m程あると思われる)。
小アタリだからとタカをくくって横目でアタリのあったサオ先を見ながら、い
ま投入したばかりのサオのリールのスプールをサミングしてミチイトを送り始
めた時、小アタリのあったサオのサオ尻が一気に持ち上がり、一瞬のうちに
2度・3度と90度以上の激しいオジギを繰り返して再びサオ尻が地に戻った
。これはと思い、サミング中のサオを手放し、アタリ竿に飛びつくがあとの祭
り…。巻き上げると、ハリのチモト5cm上までたくし上げてつけていたマムシ
が1cm程度残っていただけで、丸セイゴ16号は剥き出しになったまま。水
深のタップリある音海。20cm程度のキスではハッキリとしたアタリの出ない
ところである。そのポイントであれだけの激しいアタリとは…。
うーん、何だったんでしょう?
続いて栄光の!?
今から7〜8年前、9月のある日に大ギス狙いで手の浦へ。この時期、手の
浦はキスを中心に良く釣れるため(敦賀近辺の釣り場紹介を参照)、この日
も仕事上がりの半夜で釣行。当日はシトシトと小雨が降り続き、海も異常な
ほど静かで何かいつもと違った感じを受けた。
予想以上に波気は無いが狙いはキスなので何とかなるだろうと第一投。
思いの外、海からの反応が鈍く30分ほど打ち返しだけの時間が続く。その
後、いきなりサオ尻を浮かすアタリ。典型的な大ギスのアタリと思いやっと1
匹か、とサオを手にとると予想以上の重量感。走るのでセイゴか?と思った
が、重々しい感じから違和感を受ける。波打ち際まで抵抗したヤツをみると
なんと50cm近いボラ!。思わずガックリ…。気が抜ける。手の浦でボラな
んて考えもしなかった。三国や河口部でなら良くある事であるが…。(後にも
先にも手の浦でボラが釣れたのはこの時だけ)
やはり、いつもと違う。おまけにキスが全く釣れない。いや、居ないのだと
錯覚するほどの反応のなさ。そんなはずはない、ここんとこ安定して釣れて
いたのに…。こんな日もあるさ、と言い聞かせてキャストを繰り返すこと2時
間あまり、そろそろヤメるか?と回収のためにウンともスンとも言わないサオ
に手をかけた瞬間!、ごくっ、ごくっと伝わる魚信。それだけでない、一気に
沖に持っていこうとする。あっという間にサオをノサれる!。これまで経験した
ことのない異常事態に反射的に自ら波打ち際に駆け寄って余裕を取るが、
そんな抵抗をあざけり笑うように立て直したサオをまた一気にノシていく。
何とかリールをフリーにしてやり取り出来るように、と考えてはいたのだが
たったそれだけの行為をする余裕すら全く与えてくれない。最後はヤツとミチ
イトとサオが一直線になり(恥ずかしながら完全にノサれました。完敗!)、3
号のハリスがいとも簡単に切れて万事休す。
うーん、ホントにいったい何だったんでしょう?
この第一位のアタリを経験するまでに、三国で5・6キロは余裕で?クリアす
るメーターオーバーのエイを20分かけて取り込んだことや、ハリス0.8号
のキス仕掛けで42cmのマダイを、リールフリーを活用して取り込んだこと
もあって多少の経験は持っていたつもりでしたが、そんなちっぽけな経験を
跡形も無く消し去る。強烈な一夜の出来事でした。
いま、こうやって改めて思い出しても、身震いのする出来事です。こんな
忘れられない体験があるから、それがいつやってくるか判らないから、投げ
釣りがヤメられないのでしょうね。きっと…。
|