「すわっ!事件!?」
今から12〜3年ほど昔の話、敦賀サーフ結成直後だったでしょうか。
この日も何時ものごとく、会社上がりに半夜釣行でキス狙い。市内の某浜
に釣行。その日は暑い夏の夜、暗くなってもさほど気温が下がらずいつに
も増して蒸し暑い夜のことだった。
ポイントに着くと同時にサオを出そうと準備に掛かるが、時折、生暖かい
風に乗って異臭が…。何か腐敗臭というか、生臭いというか…。しかしなが
ら、少しでも早く釣りを開始したいとの気持ちから取りあえず第一投。釣り
の方はキス・チャリコと順調に釣れ続け、申し分なし。ひとしきり釣りを楽し
んで余裕を持ったためか、再び時折流れてくる異臭が気になって来た。
どうも斜め後方から風が吹いてくるときに強烈な臭いがやって来るようだ。
恐る恐る斜め後方にヘッドランプを向けると、少し小高い丘となっている15
m程後方の砂浜の一部が異様に盛り上がっている。よくよく見るとその小
山の傍らに何か棒のようなものが垂直に突き刺してある。どうやらスコップ
のようだ。
ここである出来事が頭によぎった。そう言えば以前、保険金殺人事件で
この近辺の浜と、お隣の美浜町の浜に死体が埋められていたという事を…
。もしかしたらとんでもない事に遭遇してしまっているのでは…。そのまま知
らぬ顔をして帰ろうとも思ったが、このままにしておいて良いものか?と中
途半端な正義感!?から、意を決して現場を確認しに行くことに。
歩を進めるに釣れて、異臭は強くなって気分がすごぶる悪くなる。風向き
に関係なく付近に異臭が充満している。この部分が拠点になっていることは
まず間違いない。小高く積まれた砂山の脇に無造作に突き刺してあるスコッ
プが冷徹な感じがして、より一層の恐怖感を増幅させる。あと数歩で現場に
辿り着く。現場は丘となっているため、あと数歩登り切らないと全貌は確認
出来ないが、どうやら小山の後方に大きな穴が掘ってあるようだ。直径5m
程の大穴である。深さは2〜3m以上ありそうだ。異臭は間違いなくここか
らである。この穴に何かが…。死体!?を埋めるにも充分な大きさ…。
ついに辿り着いてしまった。この15m程の移動距離がどんなに長く感じた
ことか。ただ釣りに来ただけなのに、とんでもないことになっちゃったなー。
思い切って穴の底部にヘッドランプを向ける。そこには…。なーんと無数
のフグの死骸が。それも30cm〜40cmと型のそろっているフグばかりで
ある。たぶん夏の異常な水温上昇・酸欠で養殖フグが大量に死んだんでし
ような。処分に困った誰かが埋めようとしていたのでしょう。
ホッとしたというか何と言うか…。ホントにマイッタ!
「重力に反して…」
とある年末のこと。当時恒例にしていた石川県能都町への遠征先での出来
事。
ここは屋根つき・車横付けという楽チン釣り場で、湾奥から生活廃水が流
れ込む影響で厳寒期でも水温がさほど下がらず、また、ある理由によって
お魚さんのエサも豊富であることからカレイ・アイナメ・ソイ・ハゼなどの魚影
が濃いポイントである。当時は3〜4年の間にかけシーズンになると通った
ものだ。このときも朝方の冷え込みで、海面からは湯気が立ち上がり、沖に
は無数の渡り鳥が群れをなしてのんびりと遊泳しているといった、何時もな
がらのいかにも「冬の漁港の朝」といった感じの絵になる風景であった。
丁度、朝マズメでカレイ・アイナメを数匹釣り、一息ついた午前9時頃だっ
たであろうか。三脚に立てかけてあったサオにアタリが出た。サオ尻も何度
となく浮き上がる。ただその浮き上がり方がヘンなのだ。サオ尻がハネ上が
る感じでなくサオ尻がそのまま垂直に10cm程浮いては戻り・浮いては戻り
と、まるでサオが棒ウキのような感じで上下に動いているのである、重力に
反して…。おかしいな、漁港の屋根の部分にミチイトを引っ掛けた憶えもな
いし…。不思議に思ってサオを手にとるとミチイトがヘンな方向(海面と平行
に)伸びている。
カンがいい人はもうすでにご察しの通り。そう、そのミチイトの先には、ぎ
こちない飛び方をしては海面に不時着、そしてまた飛ぼうとしては不時着を
繰り返している大型の渡り鳥が!、これはえらいこっちゃ…。
何とかして外してやらないと、と思案しているうちに事態はサイアクのシナ
リオへ。羽に絡んでいた?ミチイトが外れたのか、その鳥が大空に飛び立っ
たのである。本来ならよかった、一件落着というところであるが、外れたイト
が、足に絡んでいるのであろうかミチイトがまるでタコイトのように重力に反
して大空に昇っていく。サオも空に向って引っ張られていく。そんなときに限
って地元のギャラリー登場!。ベールを起こしてイトを出し、サオの異常な
動きを悟られないようにやり過ごす(その背後では異様で悲惨な光景が繰
り広げられているのだが)。まるでスケールのでかい鵜飼だ!…。
その後、偶然にもイトが外れて鳥サンにも、私にも実害なく事は収束した
んですけど。
ビックリしたのと、ギャラリーが来て恥ずかしかったのとでマイッタ!でした
。でも鳥サンが無事だった(イトを切ったりすることなく外れてくれて)ことが
一番。動物虐待の加害者にならなくてよかった。未遂事件ということでご勘
弁下さい。 m(_ _)m
「イタタッ!」
初めて対馬に遠征に行った’95年のこと。
その日はマダイ・大ギスのポイントである住吉瀬戸でサオ出し。マダイ狙い
ということでハリスは5号、ハリは丸セイゴの16号1本バリというシンプルな
がら強力な仕掛けを用意。藪の横に釣り座を構え、時間を惜しんですぐさま
第一投の準備に掛かる。ちょうどその釣り座がいけなかったんでしょうね。
気持ちばかりが先走って周囲をあまり見ていなかった…。エサ付けの段に
至ったところでハチの群れに囲まれてしまった。そう、釣り座の横の木にハ
チの巣があったんですわ。かといって「イタタッ!」てえのはハチに刺された
訳ではありません。エサをハリに付けようとしたその時、目の前に一匹のハ
チがっ…。
とっさに体ごと避けたのだが、そのとき指に激痛が…。そうです、とっさに
よけた際に、丸セイゴ16号を右手人差し指にブッスリと刺してしまったんで
す。勿論、丸セイゴ16号といえば皆さんご存知の通り、結構軸が太くて大
ぶりのハリ、それが1/3ぐらいブッスリと指に埋まっている。
痛みに耐えてぐりぐり引っ張ってみるが当然ハリのカエシがあるため、肉
を傷つけるだけでさほど戻ってこない。でも何とかカエシの付近までは引っ
張り出してきた。しかしここからが大変、カエシの威力は凄まじいもの。思わ
ずこれはなかなか外れんなー、と魚の気持ちになってしまった。
過去にキス競技用のハリを誤ってカエシの部分まで刺してしまったことはあ
るが、ハリのつくりが違う。自分自身の力加減ではラチがあかず、意を決し
て同行者のところへ行き、抜いてくれるようにお願いする。この惨状を目の
当たりにして、同行者いわく「いやや」「よう引っ張らん」気持ちは判らんでも
ないが…。こっちとしても何とかして欲しいから覚悟して頼んでいるんだ、と
話し、ようやくしぶしぶの理解を得た。「うわっ、痛そう」「…」「ぬ・抜けん…」
[…」「いやーな抵抗感!」「…」「えい!」「痛ーっ」「抜けん」「思い切って…」
「ええいっ!」「ブチッ!!」 −流血−。
あとから思いました。自分が逆の立場だったらよー抜かんなって。釣友に
感謝ですっ!
ちなみに7〜8年立った今でも、指先にハリを刺しただけのキズが残って
マス。皆さんも気をつけましょうね。
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