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オーストリアの歴史を考える会

戦間期の歴史 〜第一共和国成立から第三帝国まで〜

 

8. ヴァルトハイム問題,
 そしてアンシュルス50周年

ヴァルトハイム

ヴァルトハイム
(Kurt Waldheim,1918/12/21-)

・元オーストリア外相(任期:1968-70)
・元国連事務総長(任期:1972-1981)
・元オーストリア大統領(任期:1986-1992)
・国民党

1986 ヴァルトハイム問題

オーストリア大統領選に出馬の際,疑惑が持ち上がる。

国防軍に従軍中,バルカン半島において戦争犯罪に関与した疑いがある。

・義務を果たしただけである。
・語らなかっただけである。

 ヴァルトハイム=平均的なオーストリア国民の象徴

⇒ヴァルトハイムは大統領選に当選する。
⇒1987年,アメリカ合衆国の「監視リスト」に入れられ,入国を禁止されている。

 

1988 アンシュルス50周年

⇒アンシュルスをめぐる論争が生じる。
 =ナチ時代の過去をめぐる議論

 以降,オーストリアの過去の見直しを行った研究書が次々と著される。

 

1993.05.08
  オーストリア首相フラニツキ(Franz Vranitzky:SPÖ)は,イスラエルへの国家訪問の際,オーストリア人が第二次大戦中に犯した罪について謝罪。
→犠牲者論との決別

1994.11
  オーストリア大統領クレスティール(Thomas Klestil:ÖVP)はイスラエル国会で演説し,ナチ犯罪の手先に多くのオーストリア人のいたことを認め,当時のオーストリア人の過ちをイスラエル国民に謝罪した。

 犠牲者神話から過去の克服へ,そう動きは単純ではない。
 東西冷戦が終結し,永世中立国でありながら,EUに加盟し,ハイダーが指導的役割を務め極右政党として知られる自由党が入閣するなど,オーストリアの過去をめぐる問題は複雑な様相を呈している。
 今後の動きを見守っていきたい。

 そして言うまでもなく,過去の克服の問題は,我々日本人にとっても重い課題である。

 

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Last Updated : 2006/09/03
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